研究実績の概要 |
導電性をもつ金属材料全般に対し電着は有効で、均一な薄膜塗装が可能であることから生体機能性を付与することができる。他方、歯面やインプラント表面に付着する付着上皮の内側基底板には、特異的にラミニンが存在する。本研究は、歯科金属インプラントと上皮の生物学的封鎖の向上を目指し、この電着技術を用いて歯科金属インプラントにラミニンを固定化させ検証することを目的としている。2021年度は、ラミニン溶液濃度0.01w/v%、溶液pH7、溶液温度を4℃、電圧印加の条件をDC+1V, AC±1V, DC-1Vとし、電着時間を変化させ鏡面研磨したTi板にラミニンを電着させた。蛍光染色像から、凝集体が基板上に~100μm程度で点在していたものの、どの条件においてもラミニンは基板に一様に存在していた。しかしながら、走査顕微鏡にてこの凝集体の形態を確認することは可能であったものの、基板上に一様に認められたラミニンの詳細な形態は確認することが非常困難であった。同様に原子間力顕微鏡像においても明瞭なラミニン像を確認することは困難であった。電着時間を検討したところ、電荷時間が長いほどラミニンの付着量は増加し、DC+1V>AC±1V≒ DC-1Vと電圧印加の条件でも付着量の差が認められた。また、今回、超音波(15分、4℃)を使いラミニンの付着強度に関して確認したところ、ラミニンは容易に剥離されるものの一定量だけ残る傾向が認められた。
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