研究課題/領域番号 |
20K10019
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
大越 章吾 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70231199)
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研究分担者 |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
石川 博 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30089784)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 歯の細胞バンク / ヒト細胞特異的PCR / 定量PCR / 細胞動態 / 肝炎モデル |
研究実績の概要 |
申請者は歯髄MSC由来肝細胞(Human Hepatocyte-Like Cell: HLC)による肝炎改善効果の機序を解明するため、まずヒト細胞のラット体内での生着動態の解析を試みた。ラットRNA内にヒトmRNAを特異的に検出するPCRによって移入MSCの動態解析でヒト細胞1個をラット細胞100万個内に検出する高感度の検出系を確立した。さらにHLCをヌードラットの門脈に投与した結果、約3時間で細胞量は1/50に減少することが示された。つまり肝に直接投与しても細胞生存率は極めて低いことが判明した。HLCを尾静脈投与した場合、多くのHLCは肺から検出されたがその量は6時間後に約10%に減少していた。次に肝炎ラットの尾静脈にHLCを投与して、同様にHLCの細胞動態を検討した結果、HLCは肝炎肝で正常肝に比して有意に定着が促進されるということは見いだせなかった。しかし、肝炎ラットでは24時間後の肺におけるHLCの検出割合は、肝障害ラットで正常ラットより有意に高かった(p<0.05)。これより、歯髄MSCの障害肝への定着率は極めて低いため、効果は免疫調節効果が主であること、また肝障害ラットではMSCが肺などの遠隔臓器に長期存在し、Paracrine的に肝障害の改善を引き起こす可能性を示すことができた。このように申請者らは細胞培養、動物実験などの基礎研究によって、当初の目的通り歯の細胞バンクの臨床応用に向けた基礎研究を進展させることができたと考えている。
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