研究課題/領域番号 |
20K10026
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
|
研究分担者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
小松原 浩実 北海道大学, 大学病院, 助教 (50221247)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | デンタルインプラント / カーボンナノホーン / 抜歯即時埋入 / 早期荷重負荷 |
研究実績の概要 |
インプラント治療において、治療期間を短縮し早期に機能回復を得ることは患者にとって有益なことであるが、早期荷重にはオッセオインテグレーションの早期獲得が必須であり、インプラント周囲の骨組織の反応も重要であるが不明な点が多い。 本研究は、骨組織と適合性が高く骨形成に効果的なカーボンナノホーンをコーティングしたインプラントが、早期荷重を負荷した場合にオッセオインテグレーションの早期獲得に有効であるか、またその際にインプラント周囲の骨組織にどのような反応が生じているかという2点を明らかにすることである。 令和2年度の研究の成果は、カーボンナノホーンコーティングチタンインプラントの製作を行った。カルボキシル基を付与したカーボンナノホーンを250μg/mLとなるよう99.9%エタノールに分散し、カーボンナノホーン分散液を作成した。陽極酸化処理したチタンスクリュー(直径1.7mm、長さ3mm)を対極とともにカーボンナノホーン分散液中に固定し、30mA/cm2の直流電源・定電流下で、電圧(250,300,350,400V)および時間(60,120,180,240秒)を変えた各条件で泳動電着を行い、走査型電子顕微鏡にてチタンスクリュー表面の観察を行った。時間を180秒とし電圧を変化させた場合、電圧250Vの場合にはカーボンナノホーンの付着面積は少なく、300Vで最も多く均一に付着していることが示された。350V、400Vと電圧が上昇するとともに付着面積は減少した。電圧300Vで時間を変化させた場合は、60秒および120秒では180秒よりも付着面積は180秒より小さく、240秒ではさらに減少していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究課題の進捗が遅れている理由は、カーボンナノホーンをコーティングしたチタンスクリューの製作に時間を要した事にある。泳動電着法によるチタンスクリューへのカーボンナノホーンの電着条件の検索では、カーボンナノホーンがチタン表面に均一に堆積する最適な電圧と通電時間の組み合わせを見つけることが難しく、かなりの時間を費やした。その結果、当初の予定であった動物実験による抜歯窩にチタンインプラントを即時埋入する実験を始めることが出来ず、進捗は遅れる結果となった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度の実験計画は、動物実験によるチタンインプラントの抜歯即時埋入後の早期荷重負荷実験であったが、令和2年度にできなかったチタンインプラントの抜歯即時埋入の実験を今年度前半に行い、後半は組織標本製作や組織計量学的検索と並行して当初の予定であった早期荷重負荷実験を行って行くよう変更し研究を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の研究計画では、カーボンナノホーンをコーティングしたチタンインプラントを製作した後、動物実験を行う予定であったが、カーボンナノホーンコーティングチタンインプラントの製作が難航したため研究計画に遅れが生じ、動物実験が実施できなかった。そのため実験動物の購入や飼料代、麻酔薬などの動物実験に関連する費用や組織標本作製に関連する費用が執行されなかった。 次年度に繰り越された助成金は、令和2年度に実施する予定であった動物実験を行うための実験動物や薬品などの購入に使用し、その後本年度に計上している助成金を使用して本年度に実施を計画している動物実験、組織標本製作などを行なう予定である。
|