研究実績の概要 |
本研究の目的は,高齢者を対象に5年間隔で調査する15年間のコホート研究を行い,歯や口腔機能,またそれらの変化と全身の健康状態や疾患の罹患,ならびに口腔関連QOLの双方向の影響について明らかにすることである. 2020年度および2021年度は,COVID-19の蔓延の影響により、予定していた会場調査は、次年度に延期となったため、これまでに収集したデータの整理、分析を行った.2022年度はCOVID-19の影響により,本来予定していた集合型の対面調査を実施することができなかったが,流行が収まらないことを考慮してアンケート調査を行う準備をしていたため,すべての対象者にアンケートを送付することにより郵送調査にて調査を行った.返送されてきたアンケートを集計することにより,口腔機能と健康との関連の解析を行った.2022年7月に対象者1448名にアンケート調査依頼書を郵送にて送付し,アンケート調査に同意の得られた500名に対してアンケート調査票を送付した.返答が得られたのは平均年齢82.0歳の高齢者459名(男性228名,女性231名)であった.2023年度は,COVID-19の蔓延以前のデータとアンケート調査の結果の整理およびデータセットの作成,そして分析を行った. ベースライン調査時の残存歯数は平均24.5本,プレスケールは平均525.9Nであった.ベースライン時の咬合力の大きさと,オーラルフレイルのセルフチェック表(r=-0.1, p=0.03)および基本チェックリスト(r=-0.1, p=0.04)において,有意な相関を認めた.このことから,縦断研究により,咬合力が強い人はオーラルフレイルや要介護の発症リスクが低いことが明らかになった。
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