研究課題/領域番号 |
20K10038
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細木 真紀 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (10228421)
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研究分担者 |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
井上 美穂 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20271059)
三好 圭子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (20304537)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | microRNA / 金属アレルギー / アレルギー性接触皮膚炎 |
研究実績の概要 |
microRNA(miRNA)は,細胞内に存在する17~25塩基長程度の小さなRNA分子であり,遺伝子からタンパク質への翻訳過程を制御し,遺伝子発現や細胞機能を制御している.配列に部分相補的に結合することから,1種類のmiRNAは多種類のmRNAの遺伝子発現調節に関わっており,遺伝子発現調節において重要な役割を有することが明らかになっている.miRNAの研究は,疾患の発症や治療法の開発において重要な役割を果たしており,次世代バイオマーカーとして可能性がある. これまでの研究では,金属アレルギー患者群でダウンレギュレートされた遺伝子は,炎症性疾患と炎症反反応に関連したmicroRNAであり,これらの遺伝子は金属アレルギーのバイオマーカーになる可能性が高いことが示された.リアルタイムPCRで確認したところ,microRNA解析の結果と一致しており,hsa-let-7d-5p,hsa-miR-24-3p,hsa-miR-23b-3p,hsa-miR-26b-5p,およびhsa-miR-150-5pのダウンレギュレーションが7日目に見られた.これらの末梢血miRNAは,金属アレルギーの診断バイオマーカーになる可能性が示唆された.一方,介入前の平常時,健常者群よりも患者群のmiRNAプロファイルが高い傾向にあったものの,その差は有意ではなかった.しかしながら,この傾向が明確になれば,金属アレルギーの鑑別診断ツールとなる可能性があり,さらなる調査検討が必要であると考えられた. 今年度はこれらの内容をBiomedicineに論文投稿し出版された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投稿していた論文が出版され,一定の成果は得られたと思われる. 一方,当初予定していたより被験者数は少なくなった. 理由としては少ない被験者で,アレルギーによるmicroRNAの変動を捉えたかったため,被験者の選択基準を厳しくしたため,候補者が少ない上に,パッチテストの結果によって,明確なパッチテスト結果が出ない場合には除外したため,該当者は少なくなった.
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今後の研究の推進方策 |
翌年度に繰り越した予算があるため,マイクロアレイ解析を少数サンプル実施する予定である.しかしながら1サンプル10万円を超える経費がかかるため,被験者を大幅に増やすことは難しい.今後は得られたアレイのデータをさらに解析し,次なる手法を検討していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた論文投稿費用を別予算から算出したため,その他の支出が大幅に減ったことと,コロナウイルス感染症による行動制限で,学会発表の現地開催の減少により,予定していた旅費の支出も減ったため,次年度使用額が生じた. 繰り越した研究費と次年度の研究費を併せ,新たなマイクロアレイ解析を少数例実施する予定である.
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