研究課題/領域番号 |
20K10040
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀夫 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40507125)
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研究分担者 |
石崎 晶子 昭和大学, 歯学部, 講師 (00710386)
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (10189251)
橋口 真紀子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10457658)
岩下 洋一朗 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (70168566)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
山本 祐士 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50878270)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非接触型バイタルセンシング技術 / オンライン嚥下機能診断システム / 小型3Dカメラ / 在宅医療 / 体表面動態 / 口角変位量 |
研究実績の概要 |
2020年度は、小型3Dカメラを使用して、非接触方式により嚥下機能を評価する基礎的研究を実行した。小型3Dカメラの精度および確度を評価する目的で剛体としてのマネキンを使用し、小型3Dカメラからの距離と角度を計測した結果、距離100cm、角度は3Dカメラに対して対象体が±10°の範囲が誤差が最小の距離および角度であることが明らかとなった。次に、小型3Dカメラと嚥下透視検査を同時に撮影し、同期させることで、体表面動態から体内嚥下動態を推察する実証実験を実施した。嚥下機能検査が必要と判断した成人男性14名に対して、5, 10, 15, 20mLの4種類のバリウム懸濁液を口腔内に保持した状態から電子音の合図で嚥下を開始し、嚥下終了時まで撮影した。小型3Dカメラで口角間距離の変位量を計測し、嚥下透視装置で、口腔内から食道開口部までのを得られた画像データを同期し、詳細に分析した。結果、バリウム懸濁液の量と口角間変位量に相関性があることが認められた(P<0.01)。さらに体内嚥下動態と口角間変位量に相関性があることが明らかとなった。特に、口腔内から咽頭部への移送過程において口角変位量との相関性が高いことが明らかとなった。口唇動態が舌動態ならびに嚥下機能との連動性があることは従来から定説であったが、これまで実験的に実証された事例はなく本研究において定説を証明するとともに、今回の成果は口角変位量から嚥下機能を評価することが可能であることを実証する世界初の研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は、英文誌(Journal of Rehabilitation 2020)および和文誌(日本摂食嚥下リハビリテーション会誌 2020)で公表された。本研究課題の初年度に予定された計画は概ね完了しており、次年度以降の計画に順調に移行している。現在は、3Dカメラを応用した嚥下機能評価実験および遠隔通信実験を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
小型3Dカメラを応用した口腔機能、嚥下機能評価を予定している。1)うがい機能動態の小児から成人への発達過程の解明、2)小児から成人への咀嚼経路の発達過程の解明、3)嚥下調整食の咀嚼嚥下課程における口唇動態の解明を実施予定である。特に1)において、うがい機能の発達過程を解明した研究はこれまでも皆無であり、令和3年度中の研究調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度において予定していた研究成果が得られた。さらに、当初予定していた実験計画の見直しから機器の購入等を令和3年度に実施することが望ましいと判断したため一部繰り越して使用する計画である。
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