研究課題/領域番号 |
20K10043
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
平井 真也 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20339815)
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研究分担者 |
小川 匠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
木原 琢也 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (50796399)
井川 知子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70552389)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CAD/CAM / 咬合高さ / スキャン / 切削加工 / 精度 |
研究実績の概要 |
歯科医療においてCAD/CAMは補綴装置製作の手段のひとつとなっている。CAD/CAMを用いて製作した補綴装置の咬合高さや、各製作工程が精度へ与える影響を明らかにすることは重要である。そこで、本研究では咬合の高さを1μm単位で評価可能な咬合高さ測定用咬合器を用いて、CAD/CAMの設計製造パラメータが補綴装置製作の精度に与える影響を明らかにすることを目的とする。 2020年度は歯列形態のスキャン精度についての評価、咬合高さ測定用咬合器を用いた全部被覆冠の咬合高さの測定を行った。歯列形態のスキャン精度は直径10mmの鋼球を付与した上下歯列模型を対象とし、接触式3次元形状測定器にて測定した球重心間距離を基準値とした。模型スキャナー4機種と口腔内スキャナー9機種を用いて歯列模型を計測し、それぞれの三次元モデルを取得した。三次元処理ソフトウェアを用いて各スキャナーで取得した三次元モデルの球重心間距離を計測し基準値と比較した結果、模型スキャナーが7~22μmの誤差、口腔内スキャナーは39~103μmの誤差であり、機種間で違いが認められたがその誤差は臨床的に許容できる範囲内であった。咬合高さ測定用咬合器を用いた全部被覆冠の咬合高さ測定において、対象はレジン製顎模型を印象した歯列石膏模型とし,支台歯は下顎左側第一大臼歯部とした。全部金属冠は3名(臨床経験年数1年・10年・20年)がロストワックス法にて製作し計測した結果、咬合高さ(実効値;RMS値)は平均59~151μmであった。CAD/CAM冠は歯列模型を三次元計測し、デジタル作業用模型上でクラウンの設計を行い、加工を行った。CAD/CAM冠の咬合高さは126±18μmであり、熟練者が製作した全部金属冠よりも高かったが、初心者が製作した全部金属冠と類似する傾向が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は補綴装置製作に最も影響を及ぼす操作であるスキャンについて精度検証し、模型スキャナーや口腔内スキャナーから得られる歯列形態データの正確度と精度について明らかにした。また、咬合高さ測定用咬合器を用いて全部金属冠とCAD/CAM冠の咬合高さを測定し、ロストワックス法とCAD/CAM法の比較を行うところまで進捗しているため、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通り、CADソフトウェアを用いたクラウンのデザインが及ぼす影響の評価を行うため、デジタル作業用模型上でのクラウンのデザイン要素であるフィニッシュラインの位置、セメントスペース、咬合接触点について調整を行った際の咬合高さへ影響について研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた物品の価格変動に加え、学内の物品にて代替可能な研究を行ったため、次年度使用が生じた。次年度では、歯列模型製作用の材料(印象材・石膏)、CAD/CAMを用いた補綴装置の製作に必要となるハイブリッド型コンポジットレジンやジルコニアなどの切削加工用ブロックとミリングバーを購入予定としている。
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