研究実績の概要 |
歯科医療においてCAD/CAMは補綴装置製作の手段のひとつとなっている。CAD/CAMを用いて製作した補綴装置の咬合高さや、各製作工程が精度へ与える影響を明らかにすることは重要である。そこで、本研究では咬合の高さを1 μm単位で評価可能な高性能高さ測定咬合器を用いて、CAD/CAMの設計製造パラメータが補綴装置製作の精度に与える影響を明らかにすることを目的とする。 2022年度はCAMを用いたクラウンの加工が及ぼす影響について、異なる切削加工機を使用してCAD/CAM冠を製作し、高性能高さ測定咬合器を用いて咬合高さの測定を行った。CAD/CAM冠の製作は、3Dスキャナにより取得した歯列の三次元モデル上で歯冠形状を設計し、ブロック形状のハイブリッド型コンポジットレジンを3DWX-50(DGSHAPE, 以下DW)、DWX-52DCi(DGSHAPE, 以下DD)、CORiTEC350iPro(imes-icore, 以下IP)を用いてそれぞれ加工を行った。CAD/CAM冠の咬合高さは、DWで26±18μm、DDで106±11μm、IPで129±8μmであり、すべての切削加工機で高くなることが明らかとなった。切削加工機間において咬合高さの差は認められなかったが、標準偏差は異なる傾向が見られた。DDとIPの軸制御原理であるボールネジは、DWの軸制御原理であるレールとワイヤーに比較して剛性が高く、切削加工時に安定して加工を行うことができる。DDとIPは軸駆動モータが異なり、IPのサーボモータはDDのステッピングモータに比べ細かな制御が行え、回転数が変化した場合においても常時高いトルクを維持できるため、IPの標準偏差は他の切削加工機よりも小さくなったと考えられた。
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