研究課題/領域番号 |
20K10044
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
松浦 尚志 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (60330966)
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研究分担者 |
梅崎 陽二朗 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (20778336)
泉 利雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (40248547)
野上 堅太郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (50389417)
山口 雄一郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (50757945)
柴口 塊 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50845196)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COMT / 非歯原性歯痛 |
研究実績の概要 |
カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)は,神経伝達物質であるドーパミン,アドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンを代謝して,神経伝達を制御する酵素である.COMTの遺伝子多型の中でも,rs6269,rs4633,rs4818,rs4680はハプロタイプとして,疼痛高感受性(HPS),疼痛中等度感受性(APS)および疼痛低感受性(LPS)の3種類に分類される.さらに,それらの遺伝子多型と連動しているrs165774はGかAになる遺伝子多型だが,Aの場合にはCOMTがアドレナリンやノルアドレナリンではなくドーパミンにのみ働くようになり,かつAの場合,疼痛低感受性に寄与するようになることが分かってきた.この遺伝子多型を加えると,感受性に関するハプロタイプは,HPS,APS-G,APS-A,LPSの4つに分類される.そこで,非歯原性の特発性疼痛がCOMTのこれら4つのハプロタイプという遺伝的因子によって起こっている可能性を追求することとした. また,COMTは疼痛のみならず感情や認知とも深く関与する.とくに,ハプロタイプのAPS-AのCOMTはドーパミンに特異的に作用することから,他のハプロタイプとは異なった,特異的な役割を担っている可能性があり,複雑な因子が関連すると推測される特発性疼痛を持つ患者,あるいは反対に疼痛に関して健全な患者がこのハプロタイプの遺伝子を持っているのかいないのかを明らかにすることは,今までに報告がなく,大変意義深いと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が昨年脳梗塞のため長期入院し,退院後の体調の回復が芳しくなかったため,アグレッシブに研究を遂行することができなかった.加えて,COMTの分子的な機能が最近より詳細にわかってきたため,研究が無駄なく,効率的に遂行されるように,文献検索と文献抄読を重ねて,研究計画を再度練り直した.
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今後の研究の推進方策 |
COMTは疼痛だけでなく,感情や認知とも関連があると報告されており,疼痛のみならず,アンケートによる心理状態などもデータを取りながら,DNAサンプルから4つのハプロタイプの遺伝子を明らかにしていく.200名の患者の研究への参画を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が脳梗塞による後遺症のため,体調が芳しくなく,研究をアグレッシブに遂行できなかったため.
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