研究課題/領域番号 |
20K10052
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
阿部 泰彦 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (00253097)
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研究分担者 |
岡崎 洋平 広島大学, 病院(歯), 助教 (00706898) [辞退]
吉原 久美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90631581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 義歯床 / カンジダ菌 / 抗菌性 / 塩化セチルピリジニウム(CPC) / モンモリロナイト |
研究実績の概要 |
カンジダ菌が義歯床深層まで定着する実験モデルを構築し、このモデルを用いて、抗菌性義歯床用材料の検証を行うことで抗菌性義歯の実用化を目指した。 2021年度の前半に義歯床深層にカンジダ菌を定着させる程の促進劣化は困難であることが判明した。そこで、臨床でよく認められる義歯床用裏装材と基材との接着界面が劣化し、その界面にカンジダ菌が侵入することを想定し、また、材料劣化が容易な義歯床用軟質裏装材に着目して抗菌性を付与する実験にした。2021年度後半は、アクリル系の義歯床用軟質裏装材に高徐放性抗菌剤「塩化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(CPC-Mont)」と低徐放性CPC-Montを粉末に対して各1および3重量%配合した4種類の試作品とCPC-Montを配合しないコントロールを含めた計5種類の物性についてJIS T 6520「義歯床用長期弾性裏装材」の規格試験(吸水量、デュロメータA硬さ、接着強さ)を実施した。全ての試作品は、吸水量で規格を超えたのはMontの吸水性能が原因と考える。さらに、試作品の7日間のCPC徐放特性は、CPC-Montの配合量と高低徐放性に依存した結果であった。 2022年度は、最終仕様候補に低徐放性1および3重量%CPC-Montを配合した試作品を選択し、CPC-Montを配合しないコントロールを含めた計3種類の抗菌性試験(ディスク拡散法、比濁法)を実施した。黄色ブドウ球菌およびミュータンス菌に対しては1重量%CPC-Mont配合で抗菌性を示したが、カンジダ菌に対しては3重量%CPC-Mont配合で前述2菌と同等の抗菌性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終年度である2022年度では、最終仕様候補に選択した低徐放性1および3重量%CPC-Montを配合した試作品について抗菌性試験を実施した。次に、2試作品の14日間のCPC徐放特性を確認した後、CPC-Montの特徴であるCPCリチャージ機能を検証中である。その結果、CPCリチャージ溶液の濃度を確定するとともに、2試作品のうち1試作品を最終仕様に決定するため、本研究課題を2023年度に延長した。
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今後の研究の推進方策 |
延長年度である2023年度では、CPC-Montの特徴であるCPCリチャージ機能とCPCリチャージ溶液の濃度について検証し、抗菌性義歯床用軟質裏装材の最終仕様を決定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度である2022年度では、最終仕様候補に選択した低徐放性1および3重量%CPC-Montを配合した試作品について抗菌性試験を実施した。次に、2試作品の14日間のCPC徐放特性を確認した後、CPC-Montの特徴であるCPCリチャージ機能を検証中である。その結果、CPCリチャージ溶液の濃度を確定するとともに、2試作品のうち1試作品を最終仕様に決定するため、本研究課題を2023年度に延長した。延長年度である2023年度では、CPC-Montの特徴であるCPCリチャージ機能とCPCリチャージ溶液の濃度について検証し、抗菌性義歯床用軟質裏装材の最終仕様を決定する予定である。
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