研究課題/領域番号 |
20K10057
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浅野 正岳 日本大学, 歯学部, 教授 (10231896)
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研究分担者 |
西尾 健介 日本大学, 歯学部, 助教 (50780558)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酸性電解機能水 / interleukin-1α |
研究実績の概要 |
本研究では、酸性電解機能水(FW)の、含嗽剤としての応用を目指して、①創傷治癒促進効果のメカニズム、②sIgA分泌促進メカニズムおよび③神経系に対する効果の有無、について検討することとしている。①については、主に培養細胞を用いた実験を行っている。特に、alarmin分子としてのIL-1αの、創傷治癒促進効果の解明のため、同分子の細胞内プロセッシングについて検討を加えている。その成果の一部を、Int J Med Sci誌に発表している。この論文では、FWが細胞内に貯蔵されているIL-1α分子の細胞外放出を促進することを明らかにしている。また、FW以外にも、IL-1αの細胞外放出を促進しうるものを検索している。現在までのところ、海底深層水などマグネシウム含量の多い水などを試しているが、FW以上の効果は得られていない。一方、②については、臨床的な検討によりsIgA分泌が増強されることは明らかとなっているが、そのメカニズムに関する検討では、明瞭な成果は得られていない。しかし、研究分担者の西尾を中心として、臨床データの蓄積がなされており、これにより得られたデータは現在投稿準備中である。③に関しては、培養細胞にFWを作用させることにより、IL-1α以外のサイトカイン放出の有無についてcytokine arrayなどを用いて検討し、basic fibroblast growth factor (bGFG)やExtracellular matrix metalloproteinase inducer(EMMPRIN)などの分泌が促進されることを確認している。これらの分子が、神経系においてどのような作用を及ぼすか、現在培養細胞を用いた検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、FWの作用メカニズム解明に主眼を置いているが、細胞内でのIL-1αプロセッシングに関する以外、特筆すべき結果が得られておらず、研究全体は遅れている。しかし、IL-1αのN末端部分にあたる、propiece IL-1αが、分子内に有するnulear localizing sequence (NLS)により、①核内に局在し、②その存在様式は極めてlooseであること、また、③transfectionした細胞から、無刺激下でも分泌されることなどの結果を得ており、現在投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、全体的に遅れているが、神経系に対するFWの効果については、ミクログリア細胞へのIL-1α効果を検討している。マウス由来の培養細胞MG6を用いた検討から、MG6が低酸素状態でallograft inflammatory factor-1(AIF-1)産生を増強させることが明らかとなり、これに対するIL-1αの影響を検討している。また、FWの含嗽剤としての効果については、口腔内細菌叢の変化や、唾液中のsIgA濃度の変化など、臨床的なデータの蓄積をさらに継続して行っていく予定である、
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金は、種々の物品購入後に生じた余剰金であり、当該金額で購入可能な物品がなかったため。本助成金については、次年度の消耗品費として使用予定である。
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