研究課題
本研究課題の最終年度において、当初の研究計画にしたがって以下の実験研究を遂行した。ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231(ATCC)を用いて、DMEM培地を用いて細胞培養し、細胞カウンターを用いて細胞濃度を決定する。2×106細胞をBALB/cヌードマウスの尾静脈注射により転移がんモデルを作製した。 実験動物は対照群、ストレス群と咀嚼刺激群の3群に分けて実験を実施した。我々がこれまでに行ってきた“拘束ストレス法”を使った実験した。実験動物に1日3回、1回45分の拘束ストレスを負荷し、これを4週間継続した。また、咀嚼刺激群においてストレス負荷中に木製の爪楊枝を用いて咀嚼刺激を実施した。実験終了後に、マウスの肺組織を採取した。がんの転移に深く関与するMMP2、MMP9、TGF-β、TNF-αのタンパク質発現量をウエスタンブロット法により解析した。また、転移がんの発生・進行に関わる酸化ストレス関連因子、HNE、iNOS、SOD2のタンパク質発現量をウエスタンブロット法により解析した。その結果、対照群に比べ、ストレス群のMMP2、MMP9、VEGF、TGF-β、TNF-α、HNE、iNOS、SOD2の発現が有意に上昇した。ストレス群に比し、咀嚼刺激群のTNF-α、VEGF、iNOS、SOD2の発現が有意に低下し、TGF-β、MMP2、MMP9、HNEの発現低下傾向が見られた。これらの結果より、慢性拘束ストレスはストレスホルモンとその受容体、および酸化ストレスを関与し乳がんの肺転移を促進した。ストレス負荷中の咀嚼刺激はストレスホルモンとその受容体、および酸化ストレスを介し乳がんの肺転移を抑制する可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
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