研究課題/領域番号 |
20K10074
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森山 泰子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50452769)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50304697)
竹村 陽子 九州大学, 大学病院, 助教 (60778869)
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 特別教員 (50195872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨質劣化 / インプラント / 骨粗鬆症 / 骨粗鬆症治療薬 / 顎骨 / 骨細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、現在日本での患者数が1000万人を超えかつ増加傾向にあると言われている骨粗鬆症における顎骨の骨代謝について注目した。超高齢化に伴い、歯を失う患者は多く、現在インプラント治療を選択されるケースも増えている。その後骨粗鬆症に罹患すると、骨粗鬆症治療薬を当然使用するが、骨粗鬆症治療薬が骨内部に蓄積されると、その後外科的処置を行なった場合顎骨壊死を起こすことが問題となっている。しかし、インプラント埋入後に骨粗鬆症に罹患することを想定した動物実験はなく、現状に即したモデルを作成し検討する必要があると考えた。よって本研究では、全身の骨代謝の低下(=骨粗鬆症)による顎骨に埋入されたインプラント周囲骨動態を観察すること、また、この場合の骨粗鬆症治療薬の使用により、インプラント周囲骨にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的としている。 まず、インプラントをWistar rat(♀)の第1臼歯を抜歯し、インプラントを埋入、オッセオインテグレーション獲得を確認後、一定期間飼育し、実験的に骨粗鬆症にした(卵巣摘出術:OVX)。この時点で大腿骨のマイクロCT像により骨粗鬆症を確認した。これによりインプラント埋入後に骨粗鬆症に罹患させた新たなモデルを作成に成功した。 続いてインプラント周囲骨の組織学的・組織形態計測学的検討を行った。インプラントー顎骨の骨接触率は骨粗鬆症ラット群の方が偽手術群と比較してインプラント周囲骨接触率、骨密度共に低下したことが明らかになった。 その後骨粗鬆症治療薬を投与した場合、組織学的、組織形態計測学的検討では治療薬群は(ビスフォスフォネート製剤、PTH製剤ともに)インプラントー骨接触率およびインプラント周囲骨密度が治療薬非投与群(骨粗鬆症群)と比較して増加することが明らかになった。今後はさらに詳細な解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、インプラント埋入・骨粗鬆症モデルは確立し、骨粗鬆症でのインプラント周囲骨の解析は終わっている。また、骨粗鬆症モデルに骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート製剤・PTH製剤)を投与した動物に対する解析を進めているところである。動物にインプラントを埋入することは慣れていても技術的に困難で、また大学院生指導もありいつもより期間がかかっており、やや進捗が遅れているがその部分はすでに終了し、いま現在は予定通りに進行し始めており概ね問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物の試料の回収は終わっているので、予定通り解析を進める。試料作製器機は当教室に常備されているため実験に支障はない。これまで当教室で検討したことがない染色を行うので、その調整が必要かと考えるが、技術的には一般的なものなので地道に至適濃度等調整して進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であり、予定していた海外および国内出張がなかったため次年度使用額が生じた。次年度の予定は(現時点で)現地開催の学会もあるため、予定通り使用が可能と考える。また、研究遂行のために持ち越した使用額でテクニカルスタッフを雇用し、より迅速に形跡を進めることも考えている。
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