本研究は,振動フィードバック刺激を用いた睡眠時ブラキシズム(SB)抑制装置を14週間使用した際のSB抑制効果の持続性を検証することを目的とした. ウェアラブル筋電計(GC)を用いて診断(SBエピソード数>7.6回/時)されたSBを有する成人24名(男性14名,女性10名,平均年齢25.8±2.2歳)を被験者とした.SB抑制装置は,上顎オクルーザルスプリント内に包埋したピエゾフィルムで咬合圧によるひずみを感知し,それに対応してスプリント前方の振動装置を駆動させる構造とした. 測定期間は全14週とし,被験者には毎晩のSB抑制装置装着を指示した.最初の3週間(1-21夜)はスプリントへ順応させるため,振動刺激は与えなかった.その後,9週間(22-84夜)は振動刺激を与え,最後2週間(85-98夜)は振動刺激なしとした.解析対象期間は3,4,8,12,14週目とし,3週目の順応終了後をベースラインとして,それらのデータから振動刺激の効果について比較検討を行った. ベースラインと比較して,4,8,12週の単位時間当たりのSBイベント回数はそれぞれ40.0%,38.7%,27.5%の減少を,SBイベント持続時間ではそれぞれ28.3%,24.1%,21.8%の減少を示した. 本研究で用いたSB抑制装置は, SBイベントの回数および持続時間を減少させたことから,振動フィードバック刺激が長期的なSB管理に有用である可能性が示唆された.
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