研究課題
口腔がんは審美性や摂食・嚥下・会話などの重要な機能低下に繋がる疾患である。口腔がんの早期発見や適切な治療には、癌化や癌の増殖に関連する新たな因子の同定が必要である。本研究では令和2年度~令和4年度の期間で、全身の免疫を司る自律神経(交感神経および副交感神経)活動が全身状態・腫瘍免疫などと全身と局所でどのようなネットワ-クを形成して口腔癌の発癌、増殖、転移などに関連するかを解明する研究を計画した。研究方法の概要として、健常者および癌化に繋がる口腔潜在的悪性病変(OPMD)や口腔がん患者さんの全身の自律神経(交感・副交感神経)活動とストレスの評価を「心拍のゆらぎ」と「唾液検査」で非侵襲的に行う。研究期間の3年間が新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミック期間に一致したこともあり、口腔癌患者さんの受診数の減少、手術件数の減少が研究進行に大きく影響した。研究期間内に健常者および口腔粘膜疾患により痛みを訴えている患者さんに対して自律神経活動および唾液内ストレスホルモン濃度の測定を行った。健常者は22-28歳、男性3例、女性3例で、心拍数は60~112/分(中央値:78/分)、副交感神経活動を表す高周波数帯域(High Frequency: HF, 0.15-0.5 Hz)は5.0~8.4 (中央値:7.3)、低周波数帯域(Low Frequency: LF, 0.04-0.15Hz)は5.0-7.3 (中央値:7.0)、交感神経活動の指標であるL/Hは0.9-1.2 (中央値:0.96)であった。疾患群は57-65歳、男性2例、女性1例で、心拍数は45~118/分(中央値:85/分)、HFは5.0~8.4 (中央値:7.3)、LFは4.0-4.5 (中央値:4.2)、L/Hは1.1-1.2(中央値:1.2)であった。疾患群の方が、交感神経活動が亢進している可能性が示された。
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