現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
橋や鉄橋の探傷技術や地表面の多層構造解析などの振動を用いた解析方法を参考にして、顎関節内部を解析する方法を検討した。加振方法として、新たに振動装置を制作するのではなく、口腔内で使用することを大前提とし、実際の臨床の場で使われている装置の利用・応用を考えた。歯科用の切削器具に焦点を合わせ、エンジンドリル、レシプロカルソー、タービン、超音波スケーラーなどを考えた。その際、頭蓋振動解析を行った過去の報告より、1,000~3,000Hz程度の周波数が望ましいと判断した。その周波数を発生できる装置を選択した。そのため、60,000rpm~180,000rpm程度の振動が必要であり、歯科用のドリルは30,000~40,000rpmであるため使えない。一方、歯科用タービンは300,000rpm(5,000Hz)程度であるが、圧縮空気の圧力を抑えることでの180,000rpm(3,000Hz)振動を出せることが判明し、歯科用のスケーラーを基本に加振器の駆動装置の開発を行った。 一方、受振に際し、頭蓋に伝わった振動を骨から直接受振するのは侵襲が大きく煩雑であるため、より低侵襲に容易に測定できるよう、経皮的に受振することを目指した。頭蓋振動解析を行った過去の研究論文を参考にし、リオン社製の圧電式加速度ピックアップ(PV-94)を聴力検査に用いているヘッドセットに組みこんだ。受信信号の増幅や描出に関しキーエンス社製のBNC端子台(OP-66853)、高速アナログ計測キット(NR-HA08)、PCダイレクトインターフェースユニット(NR-500)を介してパソコンに取りこんだ。ビュアーは同社のWAVE LOGGERを用いた。下顎骨への加振として、下顎歯牙に振動を加え、その振動が頭蓋で計測できることを実験した。スケーラーの出力を変更させることで、受振周波数が変わり、この実験型の有用性が確認できた。
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