今後の研究の推進方策 |
本研究は、免疫チェックポイント阻害剤による腫瘍免疫療法に耐性を示す口腔癌に対して、我々が開発してきた腫瘍溶解性ウイルス(シンドビスウイルス)を応用し、腫瘍抗原に対する免疫応答と免疫細胞の誘導を活性化させる事でその耐性を解除し、治療効果の向上と腫瘍免疫の獲得を目指す。 引き続き、別の免疫チェックポイント阻害剤とシンドビスウイルスの併用方法を検討する。 ①担癌動物での投与方法と安全性を確認:担癌マウス(SCC7/CH3マウス)を作成し、免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA-4、PD-L1)とシンドビスウイルスを投与(腫瘍内、静脈)し、安全性を評価する。次に、シンドビスウイルスの投与時期、投与量等を検討し、まずは腫瘍の大きさで治療効果を判定する。同時に、癌部と正常臓器からウイルスを回収し、ウイルスの集積性を検討する。 ②担癌動物での腫瘍免疫誘導性:担癌マウス(SCC7-OVA/CH3マウス)を作成し、免疫チェックポイント阻害剤とシンドビスウイルスを投与し、リンパ節、脾臓、腫瘍から免疫担当細胞を回収し、フローサイトメトリーにてCD4陽性細胞(Th1, 2, 9, 17, Treg)、CD8陽性細胞、樹状細胞、NK細胞、MDSCの分布をコントロール群と比較検討する。 ③担癌動物での腫瘍免疫の評価とその免疫細胞の抗腫瘍効果の解析:免疫チェックポイント阻害剤とシンドビスウイルスを投与した担癌マウスの脾臓、腫瘍内から、各CD4陽性細胞(Th1, 2, 9)、CD8陽性細胞を精製し、抗原に対する活性化や、同系の担癌マウスに移植した際の抗腫瘍効果を検討する。さらに、シンドビスウイルスを投与する前に、各免疫担当細胞特異抗体を投与し、免疫担当細胞の機能を抑制し、抗腫瘍効果の免疫学的メカニズムを比較解析する。
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