研究課題/領域番号 |
20K10091
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
安部 貴大 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20383250)
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研究分担者 |
阿部 雅修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10392333)
小松 紀子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10644106)
太期 健二 日本医科大学, 先端医学研究所, 助教 (20466866) [辞退]
岡本 晃充 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60314233)
浜窪 隆雄 日本医科大学, 先端医学研究所, 教授 (90198797)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔がん / PCI / 抗体-薬物複合体 / イムノトキシン |
研究実績の概要 |
がん細胞特異的に抗がん剤を送達し,効率よく内在化させる新たな手法を開発するため,抗体医薬の設計・作製などを専門とする浜窪博士(退職に伴い研究分担者から外れる),ならびに機能性人工生体高分子の設計・作製などを専門とする岡本博士らの協力を得て,口腔癌に対する,PCI(Photochemical internalization)技術を併用した抗体-薬物複合体開発を行ってきた. トキシン結合型抗Robo1抗体(Immunotoxin:IT-Robo1)の抗腫瘍効果の検討で,Robo1の強制発現細胞においてもIT-Robo1単独ではコントロールIT (IT-NC) と比較して効果の有意差を示すことが出来なかった.これを克服するため,光増感剤(photosensitizer: PS)を投与し,病変に光照射(650nm)を行うことで殺傷効果を増強することができた.この手法は,光照射によって一重項酸素を発生させ,ITの細胞質への移行を促進させることを原理としている.さらに光源を強くすることで抗原濃度の低い細胞に対しても効果を高めることや,近赤外線域まで波長を伸ばすことで,組織到達度も高められることが理論上可能となるため,PCIは標的の発現依存を軽減し深部に浸潤する腫瘍にも効果が期待でき,実際にその効果も確かめられた.現時点で殺傷増強作用を千倍近く増強させることに成功し、ヌードマウスゼノグラフトモデルにおいて,IT 腹腔内投与と PCI の腫瘤周辺皮下注し光照射を加えた治療群において,IT 単独あるいは光治療単独に比べて腫瘤の顕著な縮小を確認している .我々はこれをiTAP:Intelligent Targeted Antibody Phototherapy 法と命名し,これまでの実績を発信した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室の整備が不十分であり,解析機器も段階的にセッティングしていきながら、ようやく可動できる状態に近づけたが,マンパワーの問題は依然解消出来ていないため思うように進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
概要にも述べた通り,本研究を遂行するうえで抗体設計などの検討に極めて重要な役割を分担していただいていた浜窪博士が定年退職となり,分担者から外れることとなった.しなしながら,残りの期間計画が実施できるよう適時助言をいただきながら遂行していく所存である.これまで検討してきたRobo1を標的とする本法では,いわゆる効きの面でもう1歩という側面は否めず,トランスレーショナル的なハードルが非常に高い.従って,より臨床応用に近づけるためには既存の抗体医薬に着目し,iTAP法として検討していく必要があると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行の遅れがあり,必要な物品などを計画的に消費することが出来なかった.また,それに伴い成果を発信するための学会発表などへの支出にも至らなかった.コロナ禍での人流抑制も影響した.今後,発生した次年度繰越金にてin vivoの実験や研究成果の発表,論文投稿などに使用していく計画とする.
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