研究課題
一次繊毛 primary ciliaは発生過程に関わる主要なシグナルの制御に関わり、その機能不全は顎顔面形成異常を伴う繊毛病を引き起こす。しかし、顎顔面形成における一次繊毛内での各種シグナル間の相互作用や、複数シグナルによる器官形成制御については未解明のままである。その原因の1つとして複数のシグナルを同時にターゲットとする研究がなされていないことがあげられる。本研究課題は、SHHとWNTシグナル経路を同時に変化させることによって引き起こる形態学的、分子的手法変化を解析することにより、顎顔面発生における一次繊毛の複数シグナル制御の機能を明らかにすることである。今年度は、SHHシグナルを間葉の組織特異的に欠損させ、WNTシグナルを間葉の組織特異的に過剰発現させたマウスの作成とその表現型の解析を行った。SHHシグナルを間葉の組織特異的に欠損させると同時にWNTシグナルを間葉の組織特異的に過剰発現させたマウスは、SHHシグナルを間葉の組織特異的に欠損させたマウスと一部異なる顎顔面領域の異常を示した。顔面の幅径の増加、および歯の形成遅延、眼瞼の形成異常などが挙げられ、これは、WNTシグナルが間葉で過剰発現していることが影響している可能性が示唆された。
3: やや遅れている
今回作成したダブルノックアウトマウスの他の組み合わせのマウスも作成予定であるが、その作成に時間がかかっているため「少し遅れている」とした。
変動分子の同定実験を行う。前年度に先天異常の認められたマウスの異常な部位から、SHHとWNTシグナルがそれぞれ変動した細胞をセルソーティングで分離し、その下流にある遺伝子をRNA-seqで解析する。この結果から、SHHとWNTシグナルを同時に制御した環境下で起こる分子変動を解明する。さらに in situ hybridization法とqPCR法により、分子変動部位と変動量を同定する。
必要なマウス数の獲得に時間を要した関係で、使用できなかった消耗品が生じた。また、コロナの関係で納品が遅れ、使用できなかった消耗品が生じた。次年度は、前述した推進方策にしたがい、必要な実験動物、試薬等の消耗品類を購入する。また、国内外の学会における成果発表の旅費に充てる
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Oral Diseases
巻: 1 ページ: 1-10
10.1111/odi.14162
Gene Expr Patterns
巻: 41 ページ: 119195
10.1016/j.gep.2021.119195.