研究課題/領域番号 |
20K10092
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川崎 真依子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40584587)
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研究分担者 |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
川崎 勝盛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40529640)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一次繊毛 / SHHシグナル経路 / WNTシグナル経路 |
研究実績の概要 |
一次繊毛 primary ciliaは発生過程に関わる主要なシグナルの制御に関わり、その機能不全は顎顔面形成異常を伴う繊毛病を引き起こす。しかし、顎顔面形成における一次繊毛内での各種シグナル間の相互作用や、複数シグナルによる器官形成制御については未解明のままである。その原因の1つとして複数のシグナルを 同時にターゲットとする研究がなされていないことがあげられる。本研究課題は、SHHとWNTシグナル経路を同時に変化させることによって引き起こる形態学的解析することにより、顎顔面発生における一次繊毛の複数シグナル制御の機能を明らかにすることである。本研究は、以下の3種類の遺伝子改変マウス(①SHHシグナルを間葉の組織特異的に欠損させ、WNTシグナルを間葉の組織特異的に過剰発現させたマウス、② SHHシグナルを間葉の組織特異的に欠損させ、WNTシグナルを間葉の組織特異的に欠損させたマウス、③ SHHシグナルを間葉の組織特異的に過剰発現させ、WNTシグナルを間葉の組織特異的に欠損させたマウス)の作成とその表現型の解析を行い、それぞれ単独での遺伝子改変マウスの表現型との比較を行った。一部、胎生初期での致死のため、顎顔面領域の発生に関しては解析不能であったマウスを除いて、各Wノックアウトマウスは、それぞれの単独の遺伝子改変マウスの表現型を両方持ち、表現型の悪化は認められなかった。主な表現型としては、顔面の幅径の増加および減少、歯の形成遅延、眼瞼の形成異常、口腔上皮の癒着、舌の形態異常、異所性の軟骨形成などが挙げられる。SHHとWNTは、どちらも一次繊毛上で機能しているシグナル経路で、顎顔面領域では重要な働きをしているために、機能しなくなると深刻な表現型を示すが、一方が機能していなくても他方がそれを保障するようなことは顎顔面領域においては、認められないことが示唆された。
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