研究課題/領域番号 |
20K10095
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
栗林 伸行 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (80617332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CXCR4 / CAFs |
研究実績の概要 |
われわれは、口腔癌のリンパ節転移においてケモカインレセプターCXCR4 を発現している癌細胞が、リガンド SDF)-1 に引き寄せられながら転移していること。この転移がCXCR4 阻害剤にて抑制されることを明らかにした。しかし、SDF-1/CXCR4 システムは主に走化性の亢進に関与しており、CXCR4 阻害剤では原発腫瘍に対する増殖抑制効果が得られなかった。 近年、癌が生命予後に大きな影響を与える因子として癌微小環境との連携が重要であることが知られており、その主要な構成成分である癌関連線維芽細胞(CAFs )は、癌間質細胞のなかにおいて癌組織を充填する主要な細胞として、浸潤・転移の他に局所の癌細胞の増殖に重要な役割を担っている。従って、CXCR4システムを介した口腔癌に対し,CXCR4 システムと CAFs を標的とした治療を行うことは癌の転移抑制だけでなく増殖抑制にもつながる可能性がある。また、CXCR4 は多くの癌が転移に使用することから,本研究は口腔癌のみならず、他の多くの臓器の癌に応用できる可能性があり,臨床的意義は大きい。 そこで、本研究ではCXCR4 システムと癌微小環境におけるCAFs を標的とした集学的治療法の開発を行う。 まず、当科にて腫瘍組織から採取した CAFs における確認としてαSMA を用いて蛍光染色法にて評価確認した。次いで、 CAFs を培養し抗線維化薬であるpirfenidoneにて細胞増殖の抑制を確認した。現在、CAFs が CXCR4 高発現株であるB88, SCC9 細胞接触下において癌細胞の増殖に与える影響、さらに pirfenidone を用いた増殖抑制の検討をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当科にて腫瘍組織から採取した CAFs における確認としてαSMA を用いて蛍光染色法にて評価確認した。CAFs において CXCR4 高発現株であるB88 細胞およびSCC9細胞接触下において癌細胞の増殖に与える影響について pirfenidoneを用いて検討した。増殖抑制の傾向はあるが有意差を認めなかった。従って、CAFSの関与においてpirfenidoneの投与量を調整して検討している。
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今後の研究の推進方策 |
CXCR4高発現口腔癌細胞株接触下でのCAFsの影響についてpirfenidoneを用いて検討する。 有意な増殖抑制を認めた場合、CAFSのin vivoにおける腫瘍増殖にあたえる影響をヌードマウスを用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
WST assayの追加実験のため試薬等購入で次年度繰越としました。
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