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2020 年度 実施状況報告書

口腔扁平上皮癌の微小環境-癌細胞間シグナルの解明とその制御強化による新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 20K10096
研究機関九州大学

研究代表者

清島 保  九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)

研究分担者 藤井 慎介  九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
和田 裕子  九州大学, 歯学研究院, 助教 (70380706)
長谷川 佳那  九州大学, 歯学研究院, 助教 (30793989)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード癌微小環境 / 癌形質変化 / 口腔扁平上皮癌 / 細胞集団浸潤
研究実績の概要

浸潤・転移は深刻な癌形質で、浸潤先端部の微小環境変化による上皮間葉転換(EMT)は大いに注目されている。近年、癌組織周囲の細胞外基質の硬さが、PI3Kなどの細胞内シグナルの活性化やEMTの誘導にて乳癌の腫瘍形成や浸潤に影響を及ぼすことが報告されており、我々も口腔扁平上皮癌周囲の細胞外基質の硬さが癌形質に影響することを見出している。このことから癌微小環境変化による癌形質への影響が予想される。しかし、口腔扁平上皮癌における分子機構は不明である。本研究では、口腔扁平上皮癌周囲の細胞外基質の硬さにより癌形質へ影響する重要な分子やシグナル経路を解明し、細胞内・細胞間シグナル連関の検討を目的とする。令和2年度は以下の研究結果を得た。
①口腔扁平上皮癌由来細胞株におけるYAPシグナルの活性化を確認し、YAPシグナルによる機械感受性カルシウムイオンチャネルPIEZO1発現制御、および細胞増殖との関連を見出した。
②口腔扁平上皮癌組織標本の癌部においてYAPの核局在、PIEZO1およびKi-67との共局在を認めた。
これらの結果より、細胞外環境の変化によりYAPシグナルが活性化し、Piezo1を介して癌形質変化に関与することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナ感染拡大予防を図るために実験時間の制約と研究計画の調整を余儀なくされた。そのため論文作成準備段階であった研究を優先して注力した。優先した研究は本研究の基盤となるものであった。当該の論文を国際誌に発表できたことので、次年度は研究計画の遅れを取り戻すよう調整して研究を行う。

今後の研究の推進方策

2020-21年にかけて計画していた以下の実験を、大学院生と研究補佐員を増員して実施に当たる。
①癌微小環境変化による網羅的遺伝子発現変化と癌形質変化の解析
Eph-ephrin群やサイトケラチン発現と浸潤先端部で観察される数個の癌細胞が集まった “集団浸潤”との関係性を検討する。この検索より、Eph-ephrinやCKの発現制御に関わるシグナル経路(上流/下流)の推定、およびその経路で重要な遺伝子候補を挙げ、Hippo-YAP/TAZ伝達経路との関係性の検索を行う。
②病理組織標本を用いた関連因子および標的候補因子の臨床病理学的検索
複数因子について免疫染色を行う。予備実験および実験①で得られた結果を踏まえ検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染拡大予防を図るために実験時間の制約と研究計画の調整を余儀なくされた。そのため研究は本研究の基盤となる論文作成準備段階であった研究を優先して注力した。よって、2020-21年度に計画していた①癌微小環境変化による網羅的遺伝子発現変化と癌形質変化の解析を2021年度に移行させ、研究計画を調整して研究を実施するために次年度へ予算を移行させた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] YAP signaling induces PIEZO1 to promote oral squamous cell carcinoma cell proliferation2020

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa Kana、Fujii Shinsuke、Matsumoto Shinji、Tajiri Yudai、Kikuchi Akira、Kiyoshima Tamotsu
    • 雑誌名

      The Journal of Pathology

      巻: 253 ページ: 80~93

    • DOI

      10.1002/path.5553

    • 査読あり
  • [学会発表] Hippo-PIEZO1 signal regulates cell proliferation in oral squamous cell carcinoma2020

    • 著者名/発表者名
      長谷川佳那、藤井慎介、清島保
    • 学会等名
      日本病理学会

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公開日: 2021-12-27  

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