研究課題
浸潤・転移は深刻な癌形質で、浸潤先端部の微小環境変化による上皮間葉転換(EMT)は大いに注目されている。近年、癌組織周囲の細胞外基質の硬さが、PI3Kなどの細胞内シグナルの活性化やEMTの誘導にて乳癌の腫瘍形成や浸潤に影響を及ぼすことが報告されており、我々も口腔扁平上皮癌周囲の細胞外基質の硬さが癌形質に影響することを見出している。このことから癌微小環境変化による癌形質への影響が予想される。しかし、口腔扁平上皮癌(OSCC)における癌微小環境変化による癌形質へ影響する分子機構は不明である。本研究では、OSCC周囲の細胞外基質の硬さにより癌形質へ影響する重要な分子やシグナル経路を解明し、細胞内・細胞間シグナル連関の検討を目的とする。令和5年度は以下の研究結果を得た。① 癌微小環境変化による網羅的遺伝子発現変化と癌形質変化の解析:非腫瘍部、初期癌化部および癌浸潤部において差異的発現をする遺伝子および関連因子の発現変化と、浸潤先端部で観察される数個の癌細胞が集まった “集団浸潤”との関係性を検討した。網羅的遺伝子発現変化の検索結果と照合し、関連因子の発現変化に関わるシグナル経路の推定、およびその経路で重要な遺伝子候補を挙げ、Hippo-YAP/TAZ伝達経路を活性化により遺伝子発現が影響を受ける、あるいは受けていないサイトケラチン (CK)を含む因子を挙げた。② ①で挙がった因子の病理組織標本を用いた関連因子および標的候補因子の臨床病理学的検索:複数因子について免疫組織化学染色を行った。③ ①で挙がった因子の遺伝子および関連因子の発現調節機構の一部を明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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