研究課題
超高齢化などわが国の社会的情勢の変化を背景として、これまで科学的検討が不十分であった口腔粘膜疾患に対する原因解明と治療法の開発が期待されている。なかでも口腔扁平苔癬(OLP)は様々な症状を呈し患者のQOLを低下させるが、いまだその病因・病態は不明で対症療法に頼るのみである。本研究では、癌や炎症性疾患において新たな細胞間情報伝達機構として注目されているエクソソームに着目し、OLP患者から採取した唾液中に含まれるあるいはOLP由来のケラチノサイトから分泌されるエクソソームに内包される物質に対する定性的、定量的解析によりOLPの診断あるいは病因・病態の解明が可能か否かについて検討するとともに、エクソソーム自体をOLPの原因物質の除去あるいは抑制に利用した新たな治療法の開発につなげることを目的とする。今年度は、唾液中に含まれるエクソ ソームの抽出において、これまでに行われている超遠心法に変わる簡便な方法として、カラムを用いた方法でのエクソソーム回収について検討を重ねた。その結果、唾液の希釈と限外濾過、カラムによる分離の組み合わせで、安定して唾液から簡便にエクソソームを回収する方法を確立した。この方法によって得られた検体を表面抗原解析によりエクソソームであることを証明することもできた。現在、エクソソームの性状面からも検討を加えることで、安定的な唾液検体からのエクソソーム回収方法の確立を目指した。さらに倫理審査委員会の承認のもと、同意の得られた正常およびOLPの患者から唾液を採取し、本法でエクソソームを回収することが可能か否か、また安定して回収可能か否か、さらにコントロール群とOLP群でのエクソソーム回収数に違いがあるかについても検討を進めた。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Biomedicines
巻: 11(3) ページ: 665
10.3390/biomedicines11030665
Diagnostics
巻: 12(11) ページ: 2568
10.3390/diagnostics12112568
Int J Environ Res Public Health
巻: 19(6) ページ: 3639
10.3390/ijerph19063639