研究課題/領域番号 |
20K10107
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
樋口 勝規 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (70117224)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
長谷川 佳那 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30793989)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 腺様嚢胞癌 / Sema3A / Wnt/β-カテニン経路 / 細胞増殖 |
研究実績の概要 |
我々は最近、Wnt/β-cateninシグナルによって発現が負に制御されるSema3A(Sema3A)が歯原性上皮細胞の増殖を促進することを明らかにし、Sema3Aの歯胚発生・発育への関与を示唆した。歯胚の発生と同様に、唾液腺も口腔上皮と隣接する間葉組織との相互作用が、いくつかの成長因子の刺激を通して進行する発生過程を有すると思われる。しかし、唾液腺の発生におけるSema3Aの役割は不明のままである。唾液腺に発生する腺様嚢胞癌(ACC)は悪性腫瘍であり、癌形質を呈する。また、2018年に唾液腺悪性腫瘍の腺様嚢胞癌におけるWnt/β-カテニン経路の異常活性化について報告された。ACCにおけるSema3Aの役割も不明である。そこで、腺様嚢胞癌におけるSema3Aの発現とその発現機構、およびSema3Aの腺様嚢胞癌における腫瘍形成への影響について検討することを目的としている。令和2-3年度にて以下の研究結果を得た。 ①阻害剤を用いた機能喪失実験により、Sema3AはAKT活性化を介した細胞増殖、SMGの原基培養における唾液腺のcleftやbudの形成に必要であることが明らかとなった。 ②Wnt/β-カテニンシグナルは、SMGの原基培養におけるSema3Aの発現を低下させた。 ③ACC患者10名の病理組織標本を免疫組織化学染色を用いて解析したところ、Sema3Aは非腫瘍領域ではほとんど観察されなかったが、腫瘍病巣で強く発現し、リン酸化AKTとも高頻度に共発現していることが示された。 これらの結果は、Sema3A/AKT軸が細胞増殖を促進し、唾液腺の器官形成や腫瘍形成に寄与していることを示唆していると思われる。こうした研究成果を纏めて国際誌への投稿を行なっており、追加データを収集すべく研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで腺様嚢胞癌におけるSema3Aの発現と腫瘍形成への影響について詳細に解析されていなかった。令和2年度内の私共の研究結果から、Sema3Aが腺様嚢胞癌において高発現しており、その発現が腫瘍形成に関与している知見を得た。また、その発現制御機構の一端を明らかにし、研究成果を纏めて国際誌への投稿を行なった。また、追加データを収集すべく研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
①Sema3Aの下流で腺様嚢胞癌の増殖能を制御するシグナル伝達は不明である。次年度は 腺様嚢胞癌細胞株を用いて下流シグナル伝達について追試を行う。 ②腺様嚢胞癌細胞株をマウス顎下腺に移植したin vivo腫瘍モデル(ゼノグラフト)作製を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験試薬の国内在庫不足により実験の調整を行わざるを得なかった。令和4年度に発注し実験を補完する予定である。
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