研究課題
口腔がんの素地の形成に関与するマイクロバイオームの探索・同定を試みた。口腔内細菌と口腔がんの発症との関わりが捉えにくい理由として、喫煙や飲酒の発がんへの影響が非常に強いため、口腔内細菌の影響が見えにくくなっていることが一因と推測された。そのため、対象患者を非喫煙かつ非飲酒の者に絞ることとした。対象とした39名の口腔癌患者のうち、12名が非喫煙者であった。一方、飲酒習慣に関しては正確な情アルコール摂取量の情報が得られなかった。そのため、当初の予定を変更し、対象を非喫煙口腔がん患者とその手術検体として解析を行うこととした。12名のうち男性は6名、女性は6名であった。年齢は、平均年齢68.3歳(42~81歳)であり、部位としては、舌7例、歯肉3例、頬粘膜2例であった。病期に関しては、ステージ0が3例、ステージ1が4例、ステージ3が1例、ステージ4が4例であった。組織学的には全て扁平上皮癌であり、未分化型1例、中分化型5例、高分化型4例、不明が2例であった。まず、それら12例のゲノム異常の有無を解析した。次世代シーケンサーを用いて、がん関連遺伝子46個の体細胞突然変異の有無を調べた。その結果、12例中、9例の癌に異常を認めた。p53遺伝子の突然変異は6例に認められた。PIK3CAの突然変異は4例、ERBB4とRB1の遺伝子は各々1例で認められた。次にエピゲノム異常の有無を調べた。ゲノム網羅的解析によって得られた口腔がんにおいてプロモーター領域がメチル化異常を受ける5つの遺伝子のメチル化状態を調べた。その結果、メチル化異常は、30%、50%、50%、50%、58%と高頻度に認められた。ゲノム異常とエピゲノム異常の明らかな関連性は認めなかった。口腔内細菌の採取に関しては、安定した細菌叢が得られるまでには至らなかった。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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