研究課題
口腔がんには扁平上皮癌や唾液腺腫瘍などがあり、その病理組織像は多彩である。また、一つの腫瘍型の中にも多様な組織成分が混在するので、病理組織学的診断は難しいことがある。このような多彩な病理組織像を示す疾患の診断においては組織像以外のアプローチが必要であり、がんゲノムの解析が重要であると考えられている。本研究では、顎顔面領域の様々な腫瘍の患者サンプルからDNAならびにRNAを抽出し、遺伝情報の解析を行った。歯原性腫瘍では、エナメル上皮腫患者サンプルを用いてBRAF変異の解析をサンガーシークエンスにて行った結果、83%(20/24)にBRAF変異(V600E)が認められた。また、抗BRAF V600E抗体を用いて免疫組織化学的染色を行なった結果、変異の存在を検出することが可能であった。このBRAF変異と臨床病理学的特徴(部位、年齢、組織型、臨床挙動など)との関連性はみられなかった。また、同じ症例に関してSMO変異の検索も行なったが、SMOの変異に関しては検出できなかった。また、歯原性粘液腫の患者サンプルを用いてエクソームシークエンス解析を進め、その原因遺伝子の検索も行なった。その結果、いくつかの原因遺伝子候補を絞り込むことに成功した。唾液腺腫瘍では、乳腺相似分泌癌症例に関して解析を行なった。
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