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2021 年度 実施状況報告書

口腔扁平上皮癌の悪性化に伴う間葉系および骨髄系間質細胞の免疫制御と調節因子の変化

研究課題

研究課題/領域番号 20K10128
研究機関朝日大学

研究代表者

近藤 信夫  朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)

研究分担者 村松 泰徳  朝日大学, 歯学部, 教授 (30247556)
住友 伸一郎  朝日大学, 歯学部, 教授 (50216496)
光藤 健司  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70303641)
川木 晴美  朝日大学, 歯学部, 教授 (70513670)
高山 英次  朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
神谷 真子  朝日大学, 経営学部, 准教授 (80181907)
梅村 直己  朝日大学, 歯学部, 講師 (80609107)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードブラジル産グリーンプロポリス / Artepillin C / 炎症性サイトカイン / 刺激脾細胞 / 抑制性サイトカイン / IL-2 / 担癌宿主免疫系
研究実績の概要

昨年度までの研究で、マウスを用いた担癌宿主免疫系におよぼすブラジル産グリーンプロポリス(BGP)の作用を検討すると、パラメーターが広範囲に渡り、データが煩雑化する恐れのあることが示唆された。従って本年度は、先ずBGPの免疫調節機能を探るため、健全マウスの免疫制御の中心をなす脾臓に着目し、抗CD3抗体刺激脾細胞のサイトカイン産生におよぼす影響の検討を行った。その結果、BGP処理したマウス脾細胞において①炎症性サイトカイン(IFN-γ、IL-6、IL-17)の産生が抑制される一方、②抑制性サイトカイン(IL-10、IL-4)の産生が不変または、やや促進すること、一方、③IL-2産生はタンパク質産生レベルで顕著に促進すること、④これら制御にはBGPの主要成分であるArtepillin Cが主として貢献していることを見出した。我々はartepillin CによるIL-2産生の促進効果に着目し、そのメカニズムを検討した。その結果、IL-2産生作用は、Artepillin CのTRPA1カルシウムチャンネル活性化が伴うことを見出した。この事実はTRPA1チャンネルの特異的阻害剤であるHC030031により顕著に阻害され、まartepillin Cと同様のIL-2産生促進効果は、カルシウムの取り込みを増加するカルシウムイオノフォアによっても引き起こされることから、これらの背景にはカルシウムの動員が重要な役割を果たすことが示唆された。一方、artepillin Cは、抗CD3抗体刺激脾細胞のIL-2 mRNA発現を促進せず、未刺激の脾細胞をartepillin C処理してもIL-2産生は誘導されなかった。これらの事実から、artepillin Cは刺激脾細胞のIL-2産生を、細胞外カルシウムイオンの導入を介して翻訳レベルで促進することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

担癌動物に対するBGPの作用を検討するためには、BGPの持つ生体に対する免疫調節作用を把握すること、およびBGPの効果をもたらす主要成分を同定することが重要である。申請者は正常マウスの脾細胞に対するBGPの効果を検討し、炎症性、抑制性サイトカイン産生に対する作用を観察する傍ら、特異的にIL-2産生が促進する事実を見出した。昨年度の報告で取りあげた、より機能的な実験系を構築する過程において、ほぼ方向性は決定できたと考えている。今後はまず、artepillin Cを中心に免疫調節機構を検討してゆくことが必要と考えている。

今後の研究の推進方策

昨年度の報告で挙げた、BGPが脾細胞などの正常な全身免疫システムを介してどのような作用を発揮するのかを脾細胞の産生するサイトカイン等に注目して検討し、その主要な機能に対して推測および関連する免疫細胞を特定する」という目的に向かい、今後さらに検討を進める。特に今までに知られていないArtepillin CによるTRPA1カルシウムチャネルを介した促進機構についての詳細な検討を進めてゆく。

次年度使用額が生じた理由

培養器具の購入を次年度に持ち越した。新年度に引き続き注文する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 1.Augmented secretion of IL-1α from mouse oral squamous cell carcinoma (OSCC) vcells caused by serum deprivation and hypoxia promotes immune suppressive activity of mesenchymal stromal cells,2021

    • 著者名/発表者名
      Matsunami A, Mizuno-Kamiya M, Kawaki H, Takayama E, Ueno K, Ando M, Morimoto- Ito H, Muramatsu Y, Sumitomo S, Kondoh N.
    • 雑誌名

      J Oral Biosci

      巻: 63 ページ: 284-291

    • DOI

      10.1016/j.job.2021.06.001.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of multi-components released from S-PRG filler on the activities of human dental pulp-derived stem cells.2021

    • 著者名/発表者名
      Ishigure H, Kawaki H, Shintani K, Ueno K, Mizuno-Kamiya M, Takayama E, Hotta M, Kondoh N, Nikaido T.
    • 雑誌名

      Dent Mater J

      巻: 40 ページ: 1329-1337

    • DOI

      10.4012/dmj.2020-390.

    • 査読あり
  • [学会発表] Augmented secretion of IL-1α from mouse oral squamous cell carcinoma (OSCC) cells caused by the serum deprivation and hypoxia promotes immune-suppressive activity of mesenchymal stromal cells.2021

    • 著者名/発表者名
      Kondoh N, Matsunami A, Mizuno-Kamiya M, Ando M, Umemura N, Takayama E, Kawaki H, Ueno K, Muramatsu Y, Morimoto-Ito H and Sumitomo S
    • 学会等名
      AACR Annual meeting 2021 (Web)
    • 国際学会
  • [学会発表] ブラジル産プロポリスによる抗 CD3 刺激脾細胞の IL-2 産生促進作用の解析2021

    • 著者名/発表者名
      鶴田はねみ、神谷 真子、池野久美子、上野 恭平、梅村 直己、髙山 英次、川木 晴美、中村源次郎、二階堂 徹、近藤 信夫
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] Artepillin C および PPAR-γ 阻害,GW9662 による抗 CD3 抗体刺激マウス脾臓細胞のサイトカイン産生の修復2021

    • 著者名/発表者名
      髙橋 萌、神谷 真子、川木 晴美、池野久美子、髙山 英次、中村源次郎、梅村 直己、上野 恭平、村松 泰徳、近藤 信夫
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 陰イオン交換により作製した異なるホウ素濃度の S-PRG フィラー抽出液のヒト歯髄由来幹細胞への影響2021

    • 著者名/発表者名
      巽 勇介、川木 晴美、上野 恭平、新谷 耕平、梅村 直己、神谷 真子、髙山 英次、堀田 正人、二階堂 徹、近藤 信夫
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] マウス刺激脾細胞の IL-10 産生におよぼすミダゾラムの効果2021

    • 著者名/発表者名
      神谷 真子、髙山 英次、川木 晴美、梅村 直己、上野 恭平、髙橋 萌、智原 栄一、村松 泰徳、近藤 信夫
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 中国産プロポリスによる抗 CD3 刺激脾細胞のサイトカイン産生の調節2021

    • 著者名/発表者名
      安藤 恵、、神谷 真子、池野久美子、上野 恭平、梅村 直己、髙山 英次、川木 晴美、中村源次郎、近藤 信夫
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2022-12-28  

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