研究課題
中国産プロポリス(CP)の免疫調節作用を検討する目的で、抗CD3抗体刺激脾細胞に対するサイトカイン産生制御を観察した。その結果、一昨年に我々がBGPを用いて観察したのとよく似た現象が見られた;すなわち、段階希釈したCPを用いて処理したマウス脾細胞においてIFN-γ、IL-6、IL-17などの炎症性サイトカイン産生が抑制されるが、IL-10、IL-4など抑制性サイトカイン産生はあまり変化せず、IL-2産生は顕著に促進することが、観察された。CPの主要成分であるCAPEを段階希釈して同様に検討したところ、CP希釈液と類似した様式でこれら複数のサイトカインが制御されていた。こうしたの事実から、CP特異的な複数のサイトカイン制御には、CAPEが主に関与していることが示唆された。これまでの研究結果を総合的に検討した結果、BGPと産地や成分が大きく異なるCPもまた刺激脾細胞に対し、よく似たサイトカイン制御を行い、それらを中心的に制御する物質がatepillin CおよびCAPEであることが示された。我々はこれら物質がIL-2産生を顕著に促進することから、そのメカニズムについて検討した。既に報告してきたように、artepillin C はTRPA1カルシウムチャンネルの機能を介して、IL-2産生を翻訳または分泌レベルで促進するのに対して、CAPEによるIL-2産生の促進は、IL-2mRNAレベルの発現増強を伴い、また、特異的阻害剤を用いた実験から、TRPA1カルシウムチャンネに殆ど依存しないことが判明した。これらの事実から、BGPおよびCPの主要成分であるartepillin Cと CAPEは、刺激脾細胞に対して、共によく似た免疫制御を発揮することが推測されるが、大変興味深いことに、両者のIL-2産生促進は、まったく異なるメカニズムを介して行われていることが示された。
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