研究課題/領域番号 |
20K10130
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡野 慎士 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (10380429)
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研究分担者 |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
池邉 哲郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (20202913)
坂上 竜資 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50215612)
平木 昭光 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (60404034)
橋本 憲一郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (00412619)
吉永 泰周 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60452869)
吉住 潤子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40596376)
池田 哲夫 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (60585701)
前原 喜彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (80165662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 口腔内細菌叢 / メタゲノム解析 / Dysbiosis / 癌複合免疫療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、 口腔扁平上皮癌患者に特徴的な口腔内細菌叢のプロフィールを解析し、口腔内細菌叢の口腔癌発癌・ 進展と口腔粘膜免疫及び腫瘍免疫応答へ及ぼす影響を明らかにし、その分子機序を標的とする口腔扁平上皮癌の予防並びに癌免疫複合療法を増幅させる革新的がん治療薬開発の契機を得る。 現在までに、以下の項目の研究を進めている。癌患者検体を用いた口腔内扁平上皮癌の発癌・癌進展に関わる全身・口腔内粘膜免疫・癌特異的免疫に影響を及ぼす口腔内細菌叢プロファイルの解析:各専門家領域(歯周病科、口腔外科、病理診断科、免疫学教室)で協議を行い、健常人及び口腔扁平上皮癌患者の唾液(非刺激)・歯肉縁下プラーク・舌苔・頬粘膜・硬口蓋粘膜、扁平上皮癌病巣の拭い液の採取時期及び場所について協議し、術前一週間前の口腔ケア施行時に、細菌叢サンプルを調製することを決定した。各種細菌叢解析検体より、DNAを抽出し、サンプルが揃い次第、次世代シーケンサー(NGS)にてメタゲノム解析を施行する準備を整えた。扁平上皮癌病巣の癌細胞採取を術中に施行、また、通常の病理標本作製において、近年のゲノム医療に適合する摘出標本の処理、パラフィン包埋切 片の作製と遺伝子を抽出し、品質が保証されていることを確認した。患者のリクルートに関して、コロナ禍の影響で予定より大幅に症例登録が遅れている。また、癌組織及び血液検体からの末梢血単核球のストック及び同検体からの純度及び質の高いDNA及びRNAの抽出を確立、末梢血、癌組織より免疫担当細胞を分離し、マルチカラーフローサイトメーターを用いた自然免疫・獲得免疫プロファイルを検討した。保存した末梢血単核球のin vitro内での増殖を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
口腔扁平上皮癌患者の血液及び腫瘍などのサンプルの収集及びそのフローサイトメーターでの表面蛋白発現のプロファイル及び機能解析、細菌叢用のサンプルからDNAの抽出の方法の確立は遂行できたが、コロナ禍の影響により、症例登録が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
症例のリクルートが遅延しているため、症例数の確保を進めていく予定である。今後の研究内容は、本研究で確立された研究方法を基盤とし、全症例の解析を進めていく。また、下記の項目についても、明らかにしていく。 1. 癌患者の全口腔内細菌叢及び候補口腔内細菌群を用いたノトバイオートマウスモデルによる発癌・癌進展に関わる全身・口腔内粘膜免疫・ 癌特異的免疫に影響を及ぼす口腔内細菌叢プロファイルの実証: i) 福岡歯科大学の動物実験指針に基づく学内倫理委員会の実施承認を受け、口腔内扁平上皮癌細胞株AT84の同所性口腔内接種モデルを用い、無菌マウスに各患者の口腔細菌叢を構築、患者の腫瘍内微小環境及び免疫環境変化並びに腫瘍動態の変化を検討する。更に、同マウスの口腔内細菌叢を採取し、適切な培養環境で培養、菌を単離、投与し、予想される免疫環境の再現性を検討する。ii) 宿主の免疫プロファイルや発癌・癌の進展に大きく影響を与える有力な常在細菌(群)を選択し、i)のマウスモデルを利用し、選択した細菌叢が免疫プロファイルや癌の発癌・ 進展に影響することを検証する。 2. マウスモデルを利用した口腔内扁平上皮癌に対する発癌抑制あるいは癌免疫複合療法治療効果増強を誘導する口腔内細菌群の同定と分子機序を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の下、患者数の減少があり、症例登録に大幅に遅延が生じたため、次年度使用額が発生した。 新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に移行したため、今後、登録症例数の増加が見込まれる。よって、繰り越した研究費を同検体の解析費に充てる予定である。
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