研究課題
これまでに嚥下中枢を含み嚥下活動を誘発し得る最小の延髄スライス標本の作成に成功したことに加えて、脳幹内の神経ネットワークが広い範囲で機能的に温存されているWorking heart brain stem preparation(以下WHBP)から嚥下活動を誘発することに成功し、これらの標本を用いることによって、セロトニンとNK-1受容体アゴニストであるサブスタンスP(SP)を共産生する不確縫線核ニューロンの嚥下および呼吸活動の修飾に及ぼす影響を明らかとしてきた。これまでの研究によって、延髄尾側の最後野(area postrema)のレベルにおける不確縫線核が嚥下活動に対して修飾作用を持つことを明らかとした。今年度は、WHBPを用いてNK1受容体作動薬が呼吸活動と嚥下活動に及ぼす影響を検討した。NK-1受容体の作動薬であるサブスタンスP(SP)と拮抗薬であるCP-100263を用いて薬剤投与実験を行った。SPの全標本投与によって呼吸活動と嚥下活動の双方に対する賦活作用を認めた。呼吸活動はその周期が有意に短縮し、嚥下活動はその発現閾値が有意に低下した。いずれも投与濃度による濃度依存性を認めた。拮抗薬であるCP-100263を前投与することでSPの作用が抑制された。CP-100263については、その全標本投与によって、自発的な呼吸活動が有意に抑制された。同様の結果はSPの孤束核に対する局所微量投与でも確認されたため、上記の作用は中枢神経内のNK-1受容体を介したものであると考えられた。またSPおよびCP-100263の投与によって、嚥下活動が発現した際に見られる呼吸周期の抑制には変化を認めなかった。
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