研究課題
口腔癌を含む悪性腫瘍に対する三大標準治療を補完し得る第4の治療法の確立が急務となっている。本研究は、第4の治療法の候補となっている温熱療法と免疫療法に光線力学療法を併せた、新たな集学的抗癌療法とも言える光線力学的免疫温熱療法の開発を試みようとする研究である。これまでに、本治療法の実施方法および有効性を検討することを目的に、複数の口腔癌細胞株を用いて担癌モデルマウスを作製した。用いるマウスは、ヌードマウスおよびSCIDマウスとした。移植する口腔癌細胞株は、前年度までの検討の結果からHSC-4およびHSC-3細胞株とした。これらの細胞株に対して、本治療法の有効性について検討することとした。前年度までに作成した装置を用いて、担癌モデルマウスに対しての応用が可能か否かの検討を進めた。具体的には、すでに論文等で発表されている方法を踏襲し、特定の癌抗原に対する抗体に光感受性物質であるIR700を共有結合させ、抗体を作製した。癌抗原としては、WT1を対象とした。抗体をin vitroで各種口腔腫瘍細胞に投与し、実際に癌細胞に結合することを確認(蛍光顕微鏡等により腫瘍細胞細胞膜表面にIR700による蛍光が現れることを確認する)した後、680-690nmの光照射により、腫瘍細胞の死滅が誘導できるか否かを検討した。これを用いて、各種口腔癌細胞株を用いて作製した担癌モデルマウスの背部腫瘍に対し、開発した側方漏光性光ファイバー照射装置を用いて治療を行った。治療施行の時期については、担癌モデルマウスを用いた新規治療を検証した過去の報告を参考に、腫瘍体積400~ 800mm3を目安として行った。照射条件は680-690nmの近赤外光を種々の照射時間(1,2,3,5,7,10,15分)で照射し、それぞれにおける抗腫瘍効果を検証した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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