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2020 年度 実施状況報告書

光遺伝学を利用した金属結合タンパク質の発現制御による口腔癌治療の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K10151
研究機関松本歯科大学

研究代表者

十川 紀夫  松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30236153)

研究分担者 今村 泰弘  松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
十川 千春  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10253022)
宮崎 育子  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (40335633)
村上 聡  松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70385219)
荒 敏昭  松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (90387423)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードメタロチオネイン / 口腔がん / 亜鉛
研究実績の概要

メタロチオネイン(MT)は,生体内で亜鉛と結合し,生体亜鉛濃度の恒常性維持,および調節に関わっている低分子量の金属結合タンパク質である。 亜鉛は,多くの酵素において活性中心をなす金属であり,また,転写因子の機能発現においても重要であることから,亜鉛の細胞内調節は癌の発症,増殖および転移に関与している可能性が示唆されている。しかし,亜鉛が癌細胞増殖に関与する機序の詳細は未だ明らかになっていない。
これまでの検討により,亜鉛感受性を示すヒト歯肉癌由来細胞(Ca9-22)は,MT-4遺伝子導入により細胞増殖が抑制されるものの,亜鉛感受性を示さないヒト舌癌由来細胞(HSC-2, HSC-3, HSC-4)は,MT-4遺伝子を導入しただけでは細胞増殖に影響は認められないことを見出している。この結果は,これらの癌細胞において亜鉛トランスポーターなど細胞内亜鉛シグナルの調節機構に違いがあることを示していると考えられたため,まず,よりMT-4遺伝子導入の効果が認められると考えられる亜鉛感受性を示さないHSC-4細胞において,MT-4遺伝子導入により亜鉛トランスポーター(ZnT5, ZnT7, ZIP6, ZIP9)の発現が変動するか否かをReal-Time RT-PCRにて検討した。
その結果,細胞質内外に亜鉛を導入,導出する亜鉛トランスポーターはMT-4遺伝子導入により変化しなかったが,MT-4遺伝子導入後,亜鉛を添加することにより,いずれの亜鉛トランスポーターも発現が誘導されることが明らかとなった。このことは,HSC-4においてMT-4遺伝子導入と亜鉛添加によって,細胞内外への亜鉛の導入・導出が活発になっていることを示しており,これが細胞増殖に影響が認められなかった一因であると考えられるとともに,MT-4遺伝子発現が亜鉛代謝に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新規MT-4発現ベクターの構築が遅れており,既構築したMT-4発現ベクターを用いた亜鉛トランスポーター発現変動実験を優先実施したため。

今後の研究の推進方策

引き続き新規MT-4発現ベクターの構築を試行するとともに,構築後のターゲットを明確にするため,既構築したMT-4発現ベクターを用いた亜鉛トランスポーター発現変動実験を実施する。
また,光遺伝学的遺伝子発現ベクターの操作と癌細胞増殖に対するイオン流入の効果を事前検証する目的で,チャネルロドプシンなど既存の光遺伝学的イオンチャネルの使用も考慮する。

次年度使用額が生じた理由

新規MT-4遺伝子発現ベクターの構築が遅れており,発現ベクター構築後に実施予定であった検討が遅れているため。
引き続き新規MT-4発現ベクターの構築を試行するが,光遺伝学的遺伝子発現ベクターの操作と癌細胞増殖に対するイオン流入の効果を事前検証する目的で,チャネルロドプシンなど既存の光遺伝学的イオンチャネルの使用を考慮する。

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公開日: 2021-12-27  

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