有限要素解析ソフトの導入が行われ本格的なセットアップには、新たな研究分野の導入のため、助言を受けながら進行して行っている。床の口腔側(舌接触面)形態に関しては、口蓋からの厚みについて臨床において行なっている歯槽突起の形態よりさらに4mm程度の隆起を設けた従来型のHotz 床と、歯槽部を盛り上げないで口蓋面のに沿って形態を設計した群で比較を行なうものとし研究を立案し、申請を行った。実際の診療の場ではHotz床は舌によ圧迫による装置の維持と哺乳圧の改善には有用に作用している。しかし、近年、実際の臨床の場では口蓋側の隆起は設けず、舌圧による位置の維持ではなく口唇皮膚にテープによる固定源を設けることにより、前方への顎発育誘導に用いられているPNAM装置が普及し出している。 従って、この装置による影響を確認することで本研究の目的である床形態による舌圧の作用の有無による影響を示すものと考えられ、診療の現場で得られた歯列模型での顎発育誘導効果の検証を必須と判断し、模型を資料とした解析を実施を行った。その結果、臨床で得られた実際の成長への影響では、大きく偏位した裂側のMajor Segmentは大きく内側に向かうものの前方への発育誘導には差は観察されず、前方発育を期待したMinor Segmentの発育に関してもP N A M群においても改善が得られている結果から。舌圧での前方部への成長促進の効果がないことが明らかとなった。なお、両Segmentの内翻の効果は両群では差は少なく、いずれも床内面のリリーフによる効果と考えられ共通のものであった。また、側方への舌圧による成長促進効果は、上顎結節幅径の効果がないことから左右への効果が有効ではないかと考えられ、研究は抜本的見直しを行う上で、新たに研究の方向を再検討する必要があると考えられた。
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