研究課題/領域番号 |
20K10161
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石岡 康希 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (70770840)
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研究分担者 |
小野 重弘 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (70379882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 唾液腺癌 / 癌幹細胞 / 核内受容体 |
研究実績の概要 |
(1)唾液腺癌幹細胞における抗癌剤抵抗性の検討 唾液腺癌由来細胞株を用いて、FACS解析によりCD44high/ESAlow細胞、CD44high/ESAhigh細胞、CD44low 細胞をそれぞれsortingし、Annexin Vを用いて5-FUにより誘導されるアポトーシス細胞を検出して、抗癌剤抵抗性について検討した。その結果、CD44high/ESAlow細胞は最も高い抗癌剤抵抗性を示し、またCD44high/ESAhigh細胞の抗癌剤抵抗性は外因性PGE2により増加した。 (2)核内受容体NR4Aファミリーに関するアポトーシス抵抗性の検討 口腔扁平上皮癌細胞においてNR4A2は外因性PGE2およびEGFRからのシグナルによる制御を受け、抗癌剤抵抗性に関与することを報告した(Shigeishi H, Ono S et al. Cancer letters, 2011)。抗腫瘍免疫応答の抑制機構に関与することが示唆されている核内受容体NR4Aファミリーについてアポトーシス抵抗性の検討を行った。まずNR4A2発現についてCD44high/ESAhigh細胞における検討を行い、蛍光免疫染色にてNR4A2は主に核内に発現を認めた。さらに、PGE2添加によってNR4A2のmRNA発現は増加し、PKA inhibitorの添加により、NR4A2 mRNA発現は減少した。以上の結果から、CD44high/ESAhigh細胞のNR4A2の発現にはPGE2が関与していることが示唆された。 今後は、この結果をふまえ、CD44high/ESAlow細胞にNR4A2 siRNA発現ベクターを遺伝子導入し、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の変化について検討していく。またCD44high/ESAlow細胞におけるNR4Aファミリーの発現を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌幹細胞形質を示すCD44high/ESAhigh細胞の抗癌剤抵抗性については、外因性PGE2を介して発現が誘導される核内受容体NR4A2が関与している可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
(1)CD44high/ESAlow細胞における核内受容体NR4A2の役割を明らかにするため、NR4A2 siRNA発現ベクターを遺伝子導入し、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の変化をみることで抗癌剤抵抗性について検討する。 (2)NR4A2を過剰発現させた唾液腺癌細胞を作成し、幹細胞マーカー遺伝子の発現を解析して、癌幹細胞形質について検討する。また、CD44high/ ESAlow細胞やCD44high/ESAhigh細胞の割合をFACS解析により検討する。 (3)CD44high/ESAhigh細胞におけるNR4Aファミリーの発現について検討する。
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