研究課題/領域番号 |
20K10168
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
早坂 純一 自治医科大学, 医学部, 助教 (90438664)
|
研究分担者 |
去川 俊二 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90324194)
勝又 明敏 朝日大学, 歯学部, 教授 (30195143)
森 良之 自治医科大学, 医学部, 教授 (70251296)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 人工顎関節 / Resin frame法下顎再建システム / 下顎骨再建 / 顎関節再建 / 口腔がん / 歯科口腔外科学 / 歯科放射線学 / 形成外科学 |
研究実績の概要 |
海外で開発された人工顎関節は、顎関節強直症などの顎関節に限局した症例に適応があり、下顎半側切除症例のような広範囲下顎再建時に適応できるデバイスではない。本邦では、再建プレートに人工骨頭が付与されたデバイスは存在するが、その受け皿となる下顎窩に対するデバイスはなく、再建される顎関節の構造は金属と骨の関係にある。その結果、人工骨頭の穿孔による頭蓋底迷入や外耳道損傷のリスクが解決できない状況にあり、人工顎関節の開発が望まれている。すでに開発した「Resin frame法下顎再建システム」を拡張して、新たに開発をする人工顎関節の大きさ、固定部位、固定方法、可動範囲等に関してこれまでの下顎骨再建症例のCT画像データを用いて検討を行った。その結果、顎関節を含む下顎骨再建手術を行ったほとんどの症例では、側頭筋および頬骨弓は温存されていた。よって人工顎関節の固定部位として、頬骨と側頭骨頬骨突起を想定し試作モデルを製作した。頬骨を固定部位とする場合、装置が複雑な構造となり固定操作が困難となることが分かった。それと比較して、側頭骨頬骨突起を固定部位にすると装置は単純化・軽量化が可能で固定操作も容易となり、また側頭筋が温存された場合に、側頭筋を利用できる可能性があることが分かった。よって、新規に開発する人工顎関節の固定部位は側頭骨頬骨突起とし、チタンプレートのベンディング操作で側頭骨頬骨突起に沿わせて固定を行う方法を採用した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は汎用性を高めるために側頭骨頬骨突起の平均模型を製作し人工顎関節の固定装置の設計を予定していたが、CTデータからサーフェスレンダリングを行うことでその形態に極端な違いはないことが分かった。よって側頭骨頬骨突起に関しての平均形状を得る作業は必要性がなくなり、人工顎関節の固定部位、固定方法について決定ができたため研究課題はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
新規に開発する人工顎関節に必要な自由度の配置に関するシミュレーション解析を行う。 顎関節の蝶番運動と滑走運動を再現できるように、人工顎関節の可動システムについて検討する。ただし顎関節の可動には本来の下顎に付着する咀嚼筋の働きが必要であるが、実際の臨床においては咀嚼筋は顎関節とともに合併切除されることが多い。よって、本来の顎関節運動とは異なる新たな人工顎関節の可動システムを考案して研究を遂行させる。人工顎関節の可動システムが決定された後に、能動的人工顎関節のプロトタイプの製作を行い、顎関節ロボットに装着して解析を行う。 また、安全確実に手術を施行するために確立されている既存の人工顎関節の手術手技の応用や臨床教育にも活用する方向性に関しても検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた相同モデル作成ソフトを購入せずに済み、また情報収集のための学術集会等はWEB開催に変更になっため旅費を使用しなかった。次年度に、人工顎関節のプロトタイプの製作および人工顎関節の可動実験のための物品購入と情報収集のための学術集会参加や旅費に使用を計画している。
|