研究課題/領域番号 |
20K10170
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
間 奈津子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90615379)
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研究分担者 |
東 俊文 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00222612)
中村 貴 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80431948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | iPS細胞 / Hadju-Cheney症候群 / 破骨細胞分化 |
研究実績の概要 |
Hajdu-Cheney 症候群は、痛みや腫れを引き起こす炎症を伴った末端骨溶解症を認める常染色体顕性遺伝子疾患である。頭蓋骨変形、重度歯周病、歯の早期喪失、重度の骨粗鬆症を認め、患者のQOLに多大な影響を及ぼしている。極めて希少で臨床治験の蓄積も少ないことから、現在までに確立された有効な治療法はない。そこで、本疾患の筋骨格系症状の中でも特に患者のQOLの障害となる進行性骨破壊とそれに伴う骨粗鬆症や炎症と痛みを伴った骨溶解症および骨粗鬆症を中心に、Hajdu-Cheney症候群の発症メカニズムを患者由来のiPS細胞から解明してきた。 Hajdu-Cheney症候群は非常に希少な疾患であるが、我々はすでに本疾患患者から得られた細胞をiPS化し、クローンを多数単離することに成功した。得られたiPS細胞のエキソーム解析により、Notch2 遺伝子のエキソーム34に位置するPEST配列にフレームシフトを起こす遺伝子変異を確認した。このことから、疾患の特徴である遺伝子変異を持つiPS細胞を樹立したこととなる。我々は樹立したHajdu-Cheney症候群特異的iPS細胞から、まずはマクロファージへの分化誘導を確立。さらに、複数の刺激により破骨細胞への分化誘導に成功した。正常ヒトiPS細胞(HPS4290)との比較で、破骨細胞分化亢進も確認し、大変希少なヒトHajdu-Cheney症候群iPS細胞から分化させた破骨細胞を用いた検討を行った。 本研究の成果は、患者のQOL改善に有効である疾患特異的iPS細胞の樹立とその疾患メカニズムの解明に大きな役割を果たしたと考えられる。
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