研究課題
悪性黒色腫は皮膚や口腔を含む粘膜に発症する悪性腫瘍であり,早期より全身転移するため予後が悪い.がん遺伝子Srcは細胞増殖,移動および接着を制御し,悪性黒色腫を含む様々ながん細胞の浸潤や転移を促進する.近年われわれは,Src活性を制御する新たな因子としてplectinを見出した.NCBI GEOデータ解析において,悪性黒色腫患者ではplectinおよびSrcは高発現量していたことから,plectinは悪性黒色腫の病態に関連する可能性がある.そこで本研究では,悪性黒色腫の細胞挙動におけるplectinの機能を検討した.CRISPR/Cas9システムを用いてplectin遺伝子が欠損したマウス悪性黒色腫細胞株B16細胞(PKO)を作製した.ヌードマウスにPKOを接種し2週間後形成された腫瘍を形態学・組織学的に解析した.するとPKO腫瘍細胞の密度は低く,H&E染色ではPKO腫瘍の細胞間隙は広く疎な像であった.同様にPKO細胞から形成されたスフェロイドでは凝集密度が低下し,PKOの細胞塊は機械的刺激によって容易に崩壊した.また,フィブロネクチンに対する接着能も低下した.さらに,PKOの細胞増殖能をWST-8法およびCell viability法で評価したところ,PKOは経時的な生細胞数の増加能が低下していた.Western botting法と免疫沈降法により解析すると,PKOではSrcシグナル活性が低下していた.そこで,PKOに恒常活性型Srcを過剰発現しSrcシグナルを再構築したところ,PKO細胞増殖能と細胞接着・凝集能が回復した.plectinはがん遺伝子Srcシグナルを介し,悪性黒色腫の増殖と接着を制御する.
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (3件)
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