研究実績の概要 |
口腔顔面痛は診断が困難でかつ治療も難渋する. Conditioned pain modulation(CPM:痛みが痛みを抑える現象), Thermal pain illusion(TPI:冷温繰り返し刺激により冷感覚と温感覚が逆転する現象), Temporal summation(TS:連続刺激により疼痛閾値が低下する現象)、Offset analgesia(OA:一時的な温度上昇により鎮痛が生じる現象)の組み合わせと薬物療法等の治療経過との対比から, 口腔顔面痛のあらたな診断法と治療法を提供することを目標として以下の研究を行った。 健康成人ボランティアに対して, CPM誘発のため冷温パルス刺激を前腕にCPM評価のため圧刺激を反対側前腕に与えた. 冷温パルス刺激前と刺激中の圧痛覚閾値を測定し, 冷温パルス刺激前と刺激中の圧痛覚閾値の比からCPM効果を算出した. 前腕に冷温刺激装置を用いて冷温交互パルス刺激を与え, 刺激中の感覚をインタビューした. 錯感覚の有無からTPIを評価した. TS誘発には上記冷温刺激装置を用いた. 痛みを感じる冷・温度設定(閾値の設定)を行い, 刺激を繰り返し(1Hz10回)与え, 電子VASで持続的に疼痛強度を被験者に評価させ、初期値と最終値の比をTS値として評価した. OA誘発には上記冷温刺激装置を用いた. 常温(32℃)から加温し, 温刺激温度の変化に伴う痛み強度の変化を電子VASで持続的に測定した. VASの変化からOAの有無を評価した.さらに近赤外線照射による修飾について検討した. CPM・TPI・TS・OAの評価結果から, 各試験に対する応答のパターン分類を行った.
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