研究課題/領域番号 |
20K10189
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
小長谷 光 明海大学, 歯学部, 教授 (20251548)
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研究分担者 |
大野 由夏 明海大学, 歯学部, 准教授 (70451961)
大上 沙央理 明海大学, 歯学部, 講師 (80451962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔顔面痛 |
研究実績の概要 |
本年は昨年に引き続き、健康成人ボランティアを対象にConditioned pain modulation(CPM:痛みが痛みを抑える現象)、Thermal pain illusion(TPI:冷温繰り返し刺激により冷感覚と温感覚が逆転する現象)、Temporal summation(TS:連続刺激により疼痛閾値が低下する現象)、Offset analgesia(OA:一時的な温度上昇により鎮痛が生じる現象)を評価し、以下のとおり研究を行った。 CPM誘発のため冷温パルス刺激を前腕にCPM評価のため圧刺激を反対側前腕に与えた。 冷温パルス刺激前と刺激中の圧痛覚閾値を測定し、冷温パルス刺激前と刺激中の圧痛覚閾値の比からCPM効果を算出した。前腕に冷温刺激装置を用いて冷温交互パルス刺激を与え、刺激中の感覚をインタビューした。錯感覚の有無からTPIを評価した。TS誘発には上記冷温刺激装置を用いた。痛みを感じる冷・温度設定(閾値の設定)を行い、刺激を繰り返し(1Hz10回)与え、電子VASで持続的に疼痛強度を被験者に評価させ、初期値と最終値の比をTS値として評価した。OA誘発には上記冷温刺激装置を用いた。常温(32℃)から加温し、温刺激温度の変化に伴う痛み強度の変化を電子VASで持続的に測定した。VASの変化からOAの有無を評価した。さらに近赤外線を経穴に照射することによる修飾について検討した。 CPM・TPI・TS・OA評価の結果、合谷と手三里の直線偏光近赤外線照射により内因性疼痛調節機構が賦活化されること、さらに、各評価による応答には個人差があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、内因性疼痛抑制機能評価を応用した口腔顔面痛に対する新しい診断治療のアプローチ法の開発を目標に、健康成人ボランティアを対象に、CPM、TPI、TS、OAを評価し、情報収集を行った。 得られた結果から健康成人ボランティアにおいて、CPM、TPI、TS、OAが評価できること、さらに近赤外線照射によりCPM、TPI、TS、OAが修飾され、その応答には個人差があることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、内因性疼痛抑制機能評価を応用した口腔顔面痛に対する新しい診断治療のアプローチ法の開発を目標に、健康被験者および口腔顔面痛患者を対象に、CPM、TPI、TS、OAを評価し、情報収集を行う。 CPM・TPI・TS・OAの評価結果から、 各試験に対する応答のパターン分類を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年は、世界的な半導体不足により刺激装置の購入ができず、さらに新型コロナウィルス感染症のため研究成果発表ができず、その結果計画通りの予算執行ができなかった。 次年度は、刺激装置、刺激プローベを購入予定である。さらに、研究データ解析のためのPC、統計解析ソフト、論文投稿のための画像ソフト購入、データ記録媒体購入、研究成果発表のため使用予定である。
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