研究課題/領域番号 |
20K10200
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡 一平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10431941)
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研究分担者 |
KA 井上 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90302877)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨芽細胞 / GPCR / GPCRクラスA / RNA seq / プリン受容体 / P2X7 / P2X4 / 唾液腺 |
研究実績の概要 |
Gタンパク質共役受容体(GPCR)のなかで、カルシウム・リン代謝を制御するGPCRクラスA(GPCR-A)は、その一部が骨形成抑制因子として機能することがわかってきた。本研究では、各種疾患治療薬の標的受容体として幅広く研究が展開されているGPCRに着目し、『GPCR-Aを介した安全かつ有効な新規骨再生治療法の開発』を研究の全体構想として掲げ、『骨芽細胞に存在する転写ネットワークを解明し、最新のRNA工学を応用して唾液腺由来の核酸を用いて骨形成を負に制御する因子にブレーキをかけ、顎骨・歯槽骨再生を目指す新規骨再生核酸医療を探索する』ことを本研究の目標としている。 現在までの得られて結果としては、培養骨芽細胞(MC3T3-E1細胞)にBMP-2およびGPCRアゴニストを作用させ、24、48、72時間後にtotal RNAを抽出し、抽出したRNAをPolyAセレクションと限定分解を行って、2段階のcDNAの合成の後、両端にアダプター配列を付加してPCR増幅を行って鋳型を作製し、この鋳型に対してシークエンスを行った(イルミナHiseq 2500)。シークエンスされた鋳型由来のタグ配列の出力データをUSCS Genome Browserのレファレンス配列にマッピングし、マッピングされたタグ配列の断片数をカウントして遺伝子長で補正した値(単位はFPKM: fragment per kilobase of exon per million mapped read)を転写産物発現量として算出し解析を行ったところ、新規骨形成療法のおいて候補となる転写産物が約1000個同定された。現在は得られて候補転写産物の絞り込みを行っている。 また、別の実験系としてGPCRクラスAとして知られるプリン受容体のなかでP2X7およびP2X4に焦点をあてて、マウス唾液腺(顎下腺)での発現と、2型糖尿病病態下における発現変化について詳細な検討を行い、結果を学会発表する予定である(第82回日本矯正歯科学会学術大会、新潟2023年11月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大防止による実験活動停止または活動抑制にともない、想定していた個々の実験計画が遅延しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在新規骨形成治療開発のために候補となっている転写産物を数十個程度に絞り込み、さらなる解析を行う予定である。また唾液腺プリン受容体の発現変化については、結果をまとめて今年度中の論文投稿・受理を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画に比較して実際の実験進捗状況が遅れているため。
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