研究課題/領域番号 |
20K10200
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡 一平 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (10431941)
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研究分担者 |
KA 井上 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90302877)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | GPCRクラスA / プリン受容体 / 唾液腺 / P2X4受容体 / P2X7受容体 / 2型糖尿病 |
研究実績の概要 |
内因性の骨形成抑制因子のネットワークに着目し、副作用なく効率的に顎骨・歯槽骨を再生する方法を探ることを目的として,本研究では内因性骨形成抑制因子のネットワークとして、GPCRクラスA(GPCR-A)の中でもプリン受容体に着目して研究を進めている。プリン受容体を介して骨形成を負に制御する因子(群)を同定し、この因子対するRNAサイレンシング操作を唾液腺由来の核酸で行うことを想定しているため、唾液腺に発現するプリン受容体P2X受容体について、唾液分泌障害を引き起こすことが知られている耐糖能低下病態下において検討を行った。2型糖尿病は、唾液腺においては組織形態的・機能的な障害が認められるが、その病態は不明である。一方、P2X受容体は、細胞外のATPをリガンドとする細胞膜に存在するプリン受容体であり、唾液腺では、シェーグレン症候群やがんの放射線治療における唾液腺組織障害や修復応答へのP2X受容体の関与が注目されている。このような背景のもと、高脂肪食摂取と低用量ストレプトゾトシン投与を組合わせた2型糖尿病モデル(T2DM)マウスを作製し、顎下腺における代表的なP2X受容体である、P2X4受容体およびP2X7受容体について解析を行ったところ、T2DMマウスでは通常マウスと比較して、顎下腺P2X4受容体およびP2X7受容体の発現量の有意な増加が認められ、またT2DMマウス顎下腺では、導管領域の有意な減少が認められた。本研究結果は、2型糖尿病の合併症としての唾液腺障害の病態理解を深めるだけでなく、唾液分泌障害に対する新たな予防・治療法開発につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症対策により、本研究の基盤となる動物実験の実験開始が大幅に遅れたため、その後の解析・評価および学会発表・論文投稿などが当初の予定に比較して遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在までのデータをまとめたうえで、解析・評価を行った後、学会発表や論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が当初の計画と比べて遅延しており、昨年度予定していた解析を次年度に行うことになり、その費用を計上する必要があるため。
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