研究課題
本研究では、①先天的にアルカリホスファターゼ(ALP)活性が低下した低ホスファターゼ症(HPP)患者由来の乳歯歯髄細胞(HDDPC)(以下、HPP-HDDPC)と健康小児由来のHDDPC(以下、N-HDDPC)における特性を比較検討することで、ALPの存在意義を確認すること、②さらに、HPP-HDDPCにALP発現ベクターを遺伝子導入し、HDDPCが持つ本来の多分化能性を回復させることで、「多分化能性維持におけるALPの役割を明らかにする」こと、などを目的とする。HPP-HDDPCの特性解析の結果、ALP陽性は認められず、山中4因子遺伝子導入によるiPS細胞樹立もできなかった。ALP cDNA発現ユニットを搭載したpiggyBac(PB)系トランスポゾンベクターpT-TNSALPをHPP-HDDPCに遺伝子導入後、ALP細胞化学染色を実施した結果、ALP陽性細胞が出現した(この株をALP(+)HPP-HDDPCとする)。ALP(+)HPP-HDDPC株を維持・増殖させた後、HPP-HDDDPC (陰性対照)やN-HDDPC(陽性対照)と共に多分化能性の有無を検討した。その結果、N-HDDPCは神経、骨への分化を認めたが、脂肪へは分化しなかった。一方、HPP-HDDPC、ALP(+)HPP-HDDPCは神経への分化を認めたが、骨へは分化しなかった。また、わずかに脂肪への分化を認めた。他方、このALP(+)HPP-HDDPCは、細胞の維持・増殖の段階でALP活性を失うことも明らかになった。理論的には、ALP(+)HPP-HDDPCは、N-HDDPCと同様、骨へ分化できる可能性があったが、実際は、そうではなかった。おそらく、培養過程でのALP活性消失がその背景にあるかと思われる。今後、ALP(+)HPP-HDDPC でのALP(+)の有無を確認しながら、この点を詰める必要がある。
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