研究課題/領域番号 |
20K10211
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中富 満城 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (10571771)
|
研究分担者 |
中島 由郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30455430)
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90291616)
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10311929)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 一次繊毛 |
研究実績の概要 |
脊椎動物のほとんど全ての細胞には一次繊毛という突起があり、WntやSonic hedgehogシグナリングの活性化の場としての機能を有する事が知られている。一次繊毛に関連する遺伝子の異常によって繊毛病と総称される様々な疾患が発症する。本研究で着目するInversin(Inv)とNephrocystin 3(Nphp3)は繊毛病である腎ネフロン癆の原因遺伝子として同定され、いずれも一次繊毛に関連するタンパクをコードする。これまでに一次繊毛関連遺伝子であるIFT88やEvc等の変異マウスにおける歯の形成異常が報告されているが、InvとNphp3の歯を含む顎顔面形態形成過程における機能については未解明である為、本研究を遂行した。まず正常な歯の発生過程におけるInvの発現パターンについて免疫組織化学染色を用いて検討した所、歯の発生段階に応じて星状網・内エナメル上皮・象牙芽細胞等の様々な組織に発現が観察された。Nphp3の発現パターンをin situ hybridization法にて解析した所、未分化な内エナメル上皮や歯乳頭間葉において特に強い発現が認められた。次にInv(null)・Inv(deltaC)・Nphp3(G2A)・Nphp3(pcy)の4種類の変異マウスを用い、歯および口腔の表現型について外表的な観察と前頭断切片のH&E染色を用いた組織学的解析を行った。その結果、Inv(null)では口蓋裂や顎下腺管の拡張が認められた。Inv(deltaC)では切歯の先端が鈍円化していた。Nphp3(G2A)では切歯の全長が短縮していた。Nphp3(pcy)では切歯の萌出方向の異常や臼歯の低咬頭が認められた。以上の結果より歯を含む顎顔面の正常な発生過程においてInvやNphp3の機能が必須である可能性が示唆された。
|