歯周再生治療で使用されるエムドゲインは、ブタ歯胚歯原性上皮から抽出されたアメロジェニンが主体であり、歯槽骨やセメント質などの硬組織形成能、歯肉線維芽細胞などの歯根膜関連細胞の創傷治癒の促進などにも作用すると考えられている。しかし、エムドゲインの作用機序について数多くの報告があるものの、その詳細は未だ明らかにされていない。本研究では、アメロジェニンの硬組織形成能に着目し、エナメル質のハイドロキシアパタイトの再生とそれに伴う復色させる新たな方法を確立した。 サンプルには、エナメル質スライス片を使用した。エナメル質スライス片は、40%リン酸エッチングにて60秒脱灰したものを石灰化溶液に16時間浸漬した。石灰化溶液は、石灰化溶液のみ、フッ素含有石灰化溶液、アメロジェニン添加フッ素含有石灰化溶液を使用した。 脱灰されたエナメル質スライス片は、SEMによる観察の結果、石灰化溶液では板状構造、フッ素含有石灰化溶液では針状構造、アメロジェニン添加フッ素含有石灰化溶液ではハイドロキシアパタイトに類似した柱状石灰化物を認めた。これらの石灰化物は、X線回折によりハイドロキシアパタイトであることが明らかになった。また、脱灰歯を石灰化溶液は、石灰化溶液のみ、フッ素含有石灰化溶液、アメロジェニン添加フッ素含有石灰化溶液に浸漬し、Labを計測し、delta Eabを算出したところ、アメロジェニン添加フッ素含有石灰化溶液では、⊿Eab3.5となり復色されたことが明らかになった。
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