研究課題/領域番号 |
20K10217
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00359530)
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研究分担者 |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビスホスホネート / 炎症性副作用 |
研究実績の概要 |
代表的な骨吸収抑制薬である bisphosphonates (BPs) は、ピロリン酸のP-O-Pを安定なP-C-Pにした構造を持ち、多くの誘導体が合成されている。分子内に窒素をもつBPs(N-BPs)と窒素のないBPs(non-N-BPs)があり、骨吸収抑制作用はN-BPs >> non-N-BPsである。N-BPsは点滴薬や錠剤として、骨転移性の癌、多発性骨髄腫、骨粗鬆症、小児領域では骨形成不全など骨吸収亢進を伴う疾患に第一選択薬として広く用いられている。しかし、N-BPs の副作用として、発熱・筋肉痛・骨痛・関節痛などの急性期反応と繰り返し投与による顎骨壊死が問題となっている。発症の大部分は、N-BPs の点滴投与患者であるが、錠剤服用の骨粗鬆症患者でも発症し、日本ではこの傾向が強い。 昨年度は経口投与による実験を行ったが、本年度は点滴投与患者を想定し、Zoledronate (商品名ゾメタ/リクラスト:N-BP)の静脈投与を検討した。Zoledronate(4 uM)を0.1 ml/10 g body weightで静脈投与を行い(40 umol/kg)、経時的に炎症性サイトカインを測定した。Zoledronate 単独投与によるIL-1β産生は、肝臓、脾臓の組織では増加したが、脛骨では増加は認められず、血清中に関しては検出もできなかった。LPS (10 ug/ml, 0.1 ml/10 g body weight, i.v.)の同時併用投与を検討したところ、血清、肝臓、脾臓ならびに脛骨においてLPSによるIL-1β産生の増加は認められたが、併用による産生増強効果は認められなかった。いずれのサンプルにおいても、静脈投与数時間で産生がピークとなり、24時間後には生理食塩水投与群と同程度となった。IL-1αにおいても同様の傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、業務が複雑化し、予定していた研究を継続して行うことが困難であった。また、IL-1αのELISA kitの測定条件設定に時間がかかり、研究の進行が遅延してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
Zoledronate静脈内単独投与による炎症性副作用の検討は困難で、LPSとの併用で実験の継続を試みているが、特に予想していた脛骨でのIL-1産生増強が認められなかったことで、研究方針の転換が必要となった。来年度は経口投与、静脈内投与に加え、腹腔内投与、経皮的投与について、用量依存性、経時的変化および投与のタイミングについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルスの感染拡大により、業務が複雑化し、予定していた研究を継続して行うことが困難であった。また、IL-1αのELISA kitの測定条件設定に時間がかかり、研究の進行が遅延してしまった。
(使用計画)当初行う予定だったマウスでのin vivo実験を次年度に延期したため生じたものであり、令和4年度請求額を合わせて使用する予定である。
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