研究課題/領域番号 |
20K10217
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00359530)
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研究分担者 |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ビスホスホネート / 炎症性副作用 |
研究実績の概要 |
窒素含有ビスホスホネート(Nitrogen-containing bisphosphonates: N-BPs)と抗RANKL(Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体のデノスマブ(Denosumab)は、骨吸収抑制薬として用いられているが、顎骨壊死(Osteonecrosis of the Jaw: ONJ)を引き起こすことが知られており、ONJのリスクを相互に増大させることが示唆されている。ONJは難治性であるが、最近の報告では広範な治療が提案されている。我々は以前、(i)NB-Pはそれ自体で炎症・壊死作用を持ち、細菌性リポ多糖はこれらの作用を増強すること、(ii)エチドロネート(窒素非含有ビスホスホネート: non-N-BP)はN-BP結合骨ハイドロキシアパタイトからN-BPを除去すること、(iii)エチドロネートはN-BPの軟組織細胞への侵入を阻害し、N-BPの炎症・壊死作用を軽減または防止することを報告した。 本年度は、昨年に引き続き、マウスへのZoledronate (商品名ゾメタ/リクラスト:N-BP)と抗RANKL抗体(OYC1)の静脈投与による脛骨の形態学的な比較を行った。BALB/cマウス(雄、4週齢)に種々の用量のtest sampleを静脈投与し、2週後の脛骨を摘出し、マイクロCT撮影を行った。TRI/3D-BON-BMD-PNTM software (RATOC)を用いて解析を行ったところ、Zoledronateおよび抗RANKL抗体の用量依存性に総海綿骨骨塩量が増加する傾向が認められた。また、脛骨骨端部近傍のBV/TV(海綿骨体積/総骨髄組織体積)[%]値においては、Zoledronate、抗RANKL抗体ともに明らか用量依存性の増加が認められ、今後の解析の指標となる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
講座内に生じた人員不足のため、診療や教育に割く時間が増えてしまい、研究に割く時間の確保が困難であった。また、講座所有の超低温冷凍庫が故障し、抗RANKL抗体を始めとする試薬やサンプルが使用できなくなったことも研究が遅れた要因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、我々のこれまでの研究報告でもエチドロネートがN-BP関連ONJの治療に有効であることを裏付けている。アレンドロネート(N-BP)とデノスマブで治療された骨粗鬆症患者において、ミノサイクリン(静菌性抗菌薬)とエチドロネートが、ステージ3のONJを劇的に改善した症例も経験し、論文投稿中である。N-BPsとデノスマブの併用投与へのエチドロネートの効果のメカニズムの解明を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に割く時間不足と超低温冷凍庫の故障で大幅に研究計画が遅れてしまった。次年度は、N-BPsと抗RANKL抗体の併用投与、加えてエチドロネートの併用効果についても検討する予定である。
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