研究課題/領域番号 |
20K10219
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10322819)
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研究分担者 |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯学 / 乳歯由来歯髄幹細胞 / 培養上清液 / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
乳歯由来歯髄幹細胞は、乳歯の歯髄に存在している間葉系幹細胞であり、数百種類以上のサイトカインや成長因子、ケモカイン、エクソソームなど多くの生理活性物質を分泌することが知られている。本研究では、乳歯由来歯髄幹細胞から分泌されるこれらの生理活性物質の骨粗鬆症の治療効果について検討を行った。 実験には、C57BL/6雌性マウスの卵巣を摘出(OVX)した骨粗鬆症モデルを使用した。乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液を回収し、OVXしたマウスおよびOVX擬似手術(Sham)したマウスの腹腔内に乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液の投与を行い、大腿骨の骨量を計測した。大腿骨の骨量を示すBone Volume/Tissue Volume(BV/TB)値は、Shamマウス群が41.2±4.5%であったのに対し、OVXマウス群は14.2±4.5%であった。一方、OVXマウスに乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液を投与した群のBV/TB値は、27.4±4.5%であり、乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液の投与によりOVX後に引き起こされる骨量の減少が抑えられることが明らかになった。以上の結果から、乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液には、骨吸収を抑制する何らかの生理活性物質を含んでいることが示唆された。 OVX後に起きる骨吸収はエストロゲンの枯渇によって引き起こされることから、乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液にエストロゲン様作用を有する生理活性物質が含まれているのか?もしくは別の作用機序によって骨吸収が抑制されているのか、検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、北海道大学における新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動指針(新たな実験系(動物実験等)の運用は再考・延期・中止を要請)の影響により新たに動物実験を行うことができない状況が続いた。そのため、研究の進行が停滞した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度では、当初の研究計画の遅れを取り戻すことができるよう努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れにより令和2年度の予算に未使用額1,184,788円が発生した。この未使用額については、研究計画の遅れを取り戻すため使用する予定である。
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