研究課題/領域番号 |
20K10223
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
細道 純 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00420258)
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研究分担者 |
下澤 達雄 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90231365)
前田 秀将 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60407963)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症 / 小児 / 成長 / 顎骨 / 骨代謝 / 軟骨代謝 / 交感神経β2受容体 |
研究実績の概要 |
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、主徴である間欠的低酸素(IH)曝露による交感神経受容体の活性化とともに、下顎骨の軟骨性成長の抑制をもたらす。しかし、小児OSAは、成長発達の段階に応じて異なる病態を示し、1)IH曝露に対する下顎骨成長の感受性の高い時期、2)軟骨性成長の障害機序、は解明されていない。本研究は、幼年期および青年期のIH曝露ラットを用いて、IH曝露が誘発する下顎骨成長障害の成長段階による影響を比較するととともに、その機序を解明するため、セロトニンの下流である交感神経β2受容体に対する遮断薬の投与モデルを作製し、骨および軟骨代謝の解析を行った。はじめに、酸素ガスおよび窒素ガスの発生装置、ガス混合装置を接続した飼育チャンバーを用いて、1日8時間、1時間に20サイクルの間隔で、酸素濃度を4%から21%に変化させるIH状態を実験的に再現し、3週齢(幼年期)と7週齢(青年期)のSD系雄性ラットを、各々3週間、IH曝露下で飼育し、実験群(IH群)と通常大気下で飼育したラットを対照群(N群)の成長量を比較した結果、青年期においては、対照群と比較して、IH群の下顎骨の後方部の長さおよび全長は有意に減少し、下顎頭海綿骨の骨密度が有意に増加したことが判明した。さらに、IH群の顎関節軟骨の組織学的および生化学的解析を行い、成長期のIH曝露は、TGF-βおよびSOX9の発現減少とともに、下顎頭軟骨細胞を肥大分化および石灰化へ誘導し、下顎の軟骨性成長を抑制することが判明した。また、RANKL発現の減少とともに、骨末端の骨密度の増加が明らかになった。現在、β2受容体遮断薬の投与モデルの顎関節組織を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの実験モデルの確立により、順調に進行している
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今後の研究の推進方策 |
β2受容体遮断薬の投与モデルのIH曝露時の顎関節および長管骨の組織学的および生化学的解析を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止対策による研究活動の制限により差額が生じたが、次年度に消耗品購入のため使用予定である。
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