研究課題/領域番号 |
20K10237
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
下村 淳子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (00386286)
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研究分担者 |
森田 貴雄 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20326549)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯の発生 / タンパク質 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
歯の正常な発育と発育異常については、種々の転写因子が関与することがこれまでの遺伝子発現解析から明らかとなっているが、遺伝子発現に続くタンパク質の動態機構についての研究は皆無である。本研究の目的は、歯の発生機序を知るために、プロテオミクス技術と解剖学的・生化学的手法とを組合せて、発生過程における上皮間葉間相互作用機構をタンパク質レベルで解明することである。 令和2年度は、各発育段階(胎生14, 16日齢)の胎生マウスの状下顎第一臼歯歯胚を用い、上皮と間葉組織の各発育過程における発現タンパク質の網羅的解析とプロファイリングを目標とし、プロテオミクスの結果から標的タンパク質を選定し、組織学的解析に向けて抗体を用い予備実験を行うべく実験計画を立て、遂行した。 具体的には、胎生14および 16日齢のマウス頭部を浸漬固定し、脱水・パラフィン包埋後、10um厚の切片をレーザーマイクロダイセクション(LMD)用の特殊なメンブレンスライド上に張り付けた(n=5)。その後、LMDを用いて、各日齢数の臼歯歯胚タンパク質を上皮組織と間葉組織に分けて回収した。回収した各タンパク質を精製した後、質量解析を行い、その結果を探索的に解析した。 解析の結果、マウス臼歯の発生において、間葉組織と比較し上皮組織でより多種類のタンパク質が存在していることがわかった。また、歯の発生が進むにつれ、発現するタンパク質の種類が上皮・間葉組織ともに減少していたことから、歯の発生の初期の段階(cap stage)でより多くのタンパク質が存在していることが明らかとなった。標的タンパク質の選定には、それぞれの組織においてタンパク質量でソートしたHeatmapを作成し、各組織特異的なタンパク質を標的タンパク質として選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、ほぼ計画通りに実験が遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、当初の実験計画通り、選定した各標的タンパク質特異的な抗体を用い、組織学的検討ならびに歯胚の器官培養によるタンパク質の局在と機能解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では、旅費を使用する予定であったが、全ての学会(日本小児歯科学会および歯科基礎医学会)がオンライン開催となったため、差額が生じた。 R3年度においては、組織学的検討を行うため、複数種類の抗体の購入費がかかるため、差額分も物品費で使用する予定である。
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